この記事は、以下の参考記事をもとに執筆しています。
▶ 最上位校と中堅高校の公立高校入試の得点差から考える子供の資質
(神戸高校と芦屋高校の比較から、公立中学での成績差、内申点、学習習慣の違い、そして進学後の実力差について詳述された記事です)
1. 内申点のインフレと変わる評価基準
沖縄県の中学校現場でも、定期テストの廃止や単元別評価への移行が進み、内申点(調査書点)は従来よりも取りやすくなってきました。生活態度や提出物、授業中の姿勢が主な評価軸となることで、実際の学力と通知表との間にズレが生じるようになっています。
この傾向は高校入試制度にも波及しています。那覇国際高校や球陽高校、向陽高校では「特色選抜」において当日点重視の傾向が顕著に見られ、沖縄高専では上位合格者に限り内申を加味しない方式も採用。開邦高校も付加問題(独自問題)を復活させ、学力そのものを重視する姿勢を取り戻しています。
つまり、実際の力がついていないのに「数字だけが良い」という“内申インフレ”が進行しているというのが現実です。
2. 「やればできる」は本当か?
多くの中堅高校進学者は中学3年の冬休みまでは学習への本気度が乏しく、塾のサポートがなければ漢字すら覚えない状態が続きます。しかし、入試直前になると“スイッチ”が入り、短期間で急激に成績を伸ばす生徒も存在します。
この現象は決して珍しくなく、実際に公立高校の合格者の中には「たった2ヵ月の集中学習」で得点力を上げたケースが多々あります。逆に、最上位校を目指す生徒は常に高い努力を積み重ねており、入試前に成績が伸びきらないという壁にも直面します。
一時的な成果と持続的な努力との違いを見極めることが、進学後の学びを考えるうえでとても大切です。
3. 進学校に入ることが目的ではない
沖縄県内でも「進学校」と言われる公立高校のレベルは、全国で見れば中堅レベルに留まります。琉球大学の合格者の過半数が県外出身者であることを見ても、大学受験における本当の競争は、全国の生徒との比較であるべきです。
そのため、偏差値や順位を「学校内」だけで考えるのではなく、「全国模試」などで自分の実力を客観的に知る必要があります。上位校への進学を目的とするのではなく、「勉強の習慣」や「基礎学力の積み上げ」こそが、中学・高校・大学、さらには社会人としての学びの基盤になるのです。
4. 家庭の姿勢が子どもの学びを支える
保護者の甘やかしが学力低下の一因となるケースもあります。しかし、ここで考えたいのは、「誰かのせい」ではなく、「今から何ができるか」。
たとえば、
- 毎日10分でも親子で学習の話をする
- 定期的に学習内容を親がチェックする
- 家庭内での学びの習慣をつくる
- スマホやテレビなどの使用ルールを一緒に決めて守る
- 保護者自身が読書や学びを楽しむ姿を見せる
といった行動の積み重ねが、子どもの意識を少しずつ変えていくはずです。
5. 高校からの学びは“本当の実力”が問われる
高校入試では、「直前の付け焼刃」で乗り切れたかもしれませんが、高校・大学受験になると話は別です。継続的な努力・理解・応用が求められる中で、習慣づけられなかった生徒はつまずきやすくなります。
“本当の実力”とは、基礎学力はもちろん、「自分で考え、粘り強く取り組む力」や「わからないところを自分で調べたり質問したりする力」なども含まれます。
特に高校2年で「勉強時間ゼロ」の生徒が3割以上という調査結果があるように、高校では“努力できる力”そのものが問われるようになります。受験直前に一気に詰め込むのではなく、普段から「なぜ学ぶのか」「どんな力をつけたいのか」を考える姿勢が不可欠です。
6. まとめ──未来を見据えて、今始めよう
中学生・保護者の皆さんにお伝えしたいのは、「今の学力が全てではない」ということです。ですが、だからこそ、「今、どんな習慣を身につけるか」が将来を左右します。
進学校に行くことをゴールとするのではなく、「どこでも生き抜ける学びの力」を育てるために、家庭と学校と塾が連携し、子どもの日々の成長を支えていくことが何より大切です。
日々の小さな積み重ねが、やがて子どもの未来を大きく支える力になります。
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