本記事要約
2026年入試は「医学部人気低下」ではなく、共通テスト難化による受験生の安全志向が強まり、私立併願が増えた結果、志願動向が変化した年といえる。理系科目は難化したが文系優位とは断定できず、医学部の難易度自体も依然として高いままである。特に医学部志望は長期的な学力育成と戦略が不可欠で、沖縄の受験生は地域枠制度の活用も重要な選択肢となる。入試の本質は志望の変化ではなく「受験戦略の変化」にある。

参考記事の要約
参考記事:
医学部志望が激減!2026年の大学入学共通テストを大分析
記事では、河合塾の分析をもとに2026年大学入試の出願動向が解説されています。主な内容は次の通りです。
- 旧帝大の一部で志願者減少
- 難関私大志願者増加
- 共通テスト難化(特に物理・情報Ⅰ)
- 法学・経済など社会科学系人気
- 医学部志願者減少傾向
まとめると参考記事の主張は
「文高理低」「国立↓私大↑」「医学部人気低下」
という入試トレンドです。
社説|本当に起きているのは志望変化ではない
沖縄で20年以上受験指導に携わってきた立場から申し上げると、今回の入試動向は「志望の変化」と表現するのは正確ではありません。
実際に起きているのは
志望の変化ではなく受験行動の変化
です。
この違いを理解しないまま記事を読むと、受験の本質を見誤ります。
共通テストは本当に文高理低だったのか
大学入試センター公表の平均点(2026年中間発表)を見ると
- 物理:約47点
- 数学ⅠA:約50点
- 情報Ⅰ:約59点
確かに理系科目は難化しました。しかし文系科目が特別易しくなったわけではありません。
つまり正確には
理系壊滅ではなく理系科目難化
です。
医学部志望は本当に減ったのか
一部報道では「医学部志望激減」と言われていますが、データを冷静に見る必要があります。
実際には
- 国公立医学部志願者 → 一部減少
- 私立医学部志願者 → 増加傾向
つまり正しくは
医学部志望が減ったのではなく、国立医学部出願が慎重化した
と考える方が合理的です。
(※慎重出願=難易度を見て安全校に変更すること)
医学部の難易度は今も変わらない
ここは誤解しないでほしい重要ポイントです。
医学部は今も日本最難関学部の一つです。
理由は明確です。
- 定員が極端に少ない
- 国家資格学部
- 社会的需要が高い
さらに医学部は入学後も厳しい環境です。
- 留年率:約10%前後(大学差あり)
- 2回留年で退学の大学も存在
つまり
医学部は入るより卒業する方が大変な場合もある
という現実があります。
医学部を本気で狙うなら小学生から準備
これは個人的な見解ですが、医学部合格者の多くは高校から本気になったタイプではありません。
典型的な合格ルートは次の流れです。
- 小4〜小6 → 算数を中学範囲まで
- 中1〜中2 → 英数を高校範囲へ
- 中3 → 高校内容半分終了
- 高1 → 医学部レベル問題演習
このような長期育成型(数年単位で力を伸ばす方法)が最も再現性の高いルートです。
沖縄生にとって重要な地域枠という選択肢
沖縄の家庭にぜひ知っておいてほしい制度があります。
医学部地域枠です。
琉球大学医学部などには地域医療従事を条件とした枠があります。
ただし注意点があります。
地域枠は決して「学力が低くても通る枠」ではありません。
重視されるのは
- 志望理由
- 面接
- 活動歴
つまり必要なのは
将来医師として地域に貢献するストーリー
です。
私立中学が有利と言われる理由
医学部志望の場合、一般的に私立中学が有利と言われます。
- 高校受験がない
- 学習進度が速い
- 医学部対策環境がある
ただし忘れてはいけません。
入学しただけでは意味がありません。
医学部志望で最も重要なのは学力維持です。
2026入試の本質
今回の入試動向を整理すると次の構造になります。
共通テスト難化 ↓ 国立不安 ↓ 私立併願増 ↓ 私立志願者増
これは志望変化ではなく
戦略変化
です。
中学生と保護者へのメッセージ
医学部は魅力ある進路です。しかし同時に長い道でもあります。
- 本当に医師になりたいのか
- 6年間学び続けられるか
- 国家試験まで努力できるか
ここまで考える必要があります。
合格はゴールではありません。スタートです。
結論
2026年入試は
医学部人気低下の年ではなく受験心理変化の年
です。
難易度は変わっていません。変わったのは受験生の戦略です。
そして今後は
戦略を持つ家庭と持たない家庭の差が広がる時代
になると考えられます。
正しい情報を知り、早く準備した家庭ほど余裕を持って受験を迎えられます。
■執筆者
比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。講師歴20年以上。学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。





















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