本記事ダイジェスト動画
12月。
模試の結果が返り、周囲の進路も少しずつ固まり始める中で、
多くの中学生、そして保護者の皆さんが、同じ問いを胸に抱きます。
「この成績で、本当に第一志望に挑戦していいのだろうか」
「そろそろ志望校を下げたほうがいいのではないか」
沖縄進学塾でも、入試対策講座が一区切りし、
12月31日には“年末模試”として、一次志望校の判定を出す大切な模試が行われます。
まさに今が、進路に悩む“本番の入口”です。
そんなタイミングで目にしたのが、次の【参考記事】でした。
【参考記事】
「模試でA判定が取れない…子供の志望校下げさせるべき?」
受験生の親の質問に東大生が回答!“親が絶対にしてはいけないこと”とは
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/923831
【参考記事の要約】
- 親は「志望校を下げなさい」とも「第一志望を目指し続けなさい」とも言わない方がよい。
- 受験は本人のものであり、親が決めると「他人事の受験」になる。
- 納得していない安全校受験は、モチベーションが下がり結果も出にくい。
- 親の最適な距離感は、
「あなたの受験だから、最終的には自分で決めなさいね」という姿勢。 - 親の役割は、進路を決めることではなく、どんな選択でも受け止める“土台”になること。
結論は明確です。
「親は何も決めないこと」こそが、最大の支援である。
ここからは、私の感想です
(※以下は、沖縄で20年以上受験指導に携わってきた立場からの個人的な意見です)
この記事を読みながら、私は何度も現場の生徒たちの顔を思い浮かべました。
社説を書くような気持ちで、率直に述べたいと思います。
現実を知った生徒ほど、志望校を下げようとする
入試対策が進むにつれ、生徒たちは自分の実力と向き合います。
そして多くの場合、こう言い始めます。
「先生、ここはもう無理かもしれません」
「一段、下げたほうがいいですよね」
一次志望を下げる生徒が次々と出てくる。
これは、沖縄の受験現場では珍しいことではありません。
これは“逃げ”ではありません。
現実を見ているからこそ出てくる、自然な心の動きです。
ただ、個人的な意見としては、
その判断があまりにも早すぎるケースが年々増えているように感じています。
沖縄には「志願変更」という制度がある
沖縄県の県立高校入試には、
出願後に志願変更できる期間が設けられています。
(※毎年度、県教育委員会が公表する入試実施要項で確認が必要です)
これは全国的に見ても特徴的な制度で、
一度出した志望校を、状況に応じて変更できる仕組みです。
ただし、重要な注意点があります。
志願変更は、原則として「倍率が割れている(=定員より志願者が少ない)」高校に限られるという条件があります。
つまり、
「どこへでも自由に変えられる制度」ではありません。
ここは必ず、学校の先生や塾の先生と相談してください。
それでも、今すぐ下げなくていい理由
それでも私が伝えたいのは、こうです。
一次志望を出す段階で、まだ志望校を下げる必要はない生徒が多い。
なぜなら――
ここからの1か月が、受験生にとって最も伸びる時期だからです。
個人的な意見として、
基礎(※土台となる学力)ができてきた生徒ほど、
直前期に一気に点数を伸ばすケースを、これまで何度も見てきました。
冬休み、正月特訓、直前演習。
この時期の1か月は、夏の1か月とは密度がまったく違う。
「どうせ下げるなら、伸びきってから判断しよう」
志願変更という制度がある沖縄では、
“今すぐ下げない”という選択肢も、十分に合理的なのです。
「自分で決める受験」が、人を強くする
受験は“自分ごと”でなければ勝てません。
- 親に言われたから下げた
- 先生に言われたから変えた
- なんとなく安全そうだから決めた
こうした選択は、知らないうちに「自分で選んでいない受験」をつくります。
受験とは、学力だけでなく、
「自分で選んだ」という覚悟の勝負でもあるのです。
中学生のみなさんへ
もし今、志望校を下げようか迷っているなら、
それは弱さではありません。真剣だからこその悩みです。
まだ、伸びる時間は残っています。
そして、最後に決めるのは、あなた自身です。
親にできる、たった一つのこと
親は、何も決めないこと。
決めるのは子ども。
親は、その選択を支える土台になる。
この「優しい距離感」こそが、
受験期の子どもにとって、何よりの安心になります。
結び――今、下げるな。自分で選ばせよ。
「今すぐ志望校を下げさせるな。
自分で考し、自分で選ばせよ。」
それが、結果以上に、
子どもを一回り大きく成長させる受験になると、
私は信じています。
執筆者情報
比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。講師歴20年以上。学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。









この記事へのコメントはありません。