三大国家資格と沖縄の平均年収から学ぶ、学力と職業選びのリアル

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参考記事の要約

今回参考にした記事は、日本の「三大国家資格」と言われる 医師・弁護士・公認会計士 について、以下の5つの軸で徹底的に比較した内容です。

  • 経済的報酬(年収)
  • 安定性
  • AI・シンギュラリティ(技術的特異点)への耐性
  • ポータビリティ(場所・時間の自由度)
  • 資格取得コスト(時間・学費)

著者は東京大学理科Ⅲ類(医学部)に在籍しており、自身が就職前に「医師・弁護士・公認会計士のどれを目指すか」で悩み抜いた経験をもとに、各資格のメリット・デメリットを分析しています。

記事では特に「年収の期待値」「下限と上限」に注目し、例えば次のようなレンジが示されています。

  • 医師:勤務医で年収1,500万円前後、開業医は3,000万~5,000万円の可能性
  • 弁護士:四大法律事務所は初任給1,200万円超、パートナーで1億円超も。ただし中央値は700万円前後の層も多い
  • 公認会計士:監査法人で1,000万円前後、FASで2,000万円超も可能

結論として、「どの資格が一番偉いか」ではなく、「自分の価値観・人生設計に合うかどうか」が大切である と締めくくられています。

参考記事(外部サイト):
日本三大国家資格の徹底比較:医師・弁護士・公認会計士、人生を賭けるに値する選択はどれか

はじめに──「学力が高ければ年収も高い」は本当か?

中学生や保護者の方から、

「いい大学に入れば、将来はなんとかなるはず」

という言葉をよく耳にします。

しかし、三大国家資格の年収比較を見ると、学力そのものよりも「仕事の構造」や「働き方」が収入を大きく左右している ことが見えてきます。

同じように高い学力が必要な資格でも、

  • 年収の下限が高い資格もあれば、低めの資格もある
  • 上限(伸びしろ)が大きい資格もあれば、天井が見えやすい資格もある
  • 景気やAIの影響を受けやすい仕事と、そうでない仕事がある
  • 本土と沖縄では、同じ職業でも年収水準が変わる

この記事では、参考記事の内容を踏まえつつ、「三大国家資格の年収イメージ」と「沖縄県の平均年収」 を具体的な数字で整理し、中学生と保護者が進路を考える材料を提供したいと思います。

三大国家資格の年収(全国の統計+参考記事のレンジ)

まずは全国レベルでの年収データから整理します。数値はおもに厚生労働省「賃金構造基本統計調査」や業界調査の公開データを参考にしたおおよその目安です。


■ 医師(勤務医中心)

  • 全国平均年収:およそ1,300万円前後
  • 一般病院勤務医:およそ1,400万~1,500万円前後
  • 診療所勤務医:およそ1,000万~1,100万円前後

参考記事では、

  • 勤務医の「堅い下限」として1,500万円前後
  • クリニック開業に成功すれば3,000万~5,000万円も射程圏内

と示されています。もちろん全員がこのレンジに到達するわけではありませんが、「下振れしにくく、平均よりかなり高い水準を維持しやすい資格」 だと言えます。


■ 弁護士

  • 平均年収:およそ900万~1,100万円前後
  • 所得の中央値:およそ700万円前後

統計上の「平均」は高めですが、実際には二極化が進んでいると言われています。参考記事では、

  • 四大法律事務所所属の若手弁護士は、初任給で1,200万円超
  • 3年目で2,000万円近くに到達することもある
  • 海外留学やパートナー就任で1億円規模に到達するキャリアもあり得る
  • 一方で、案件単価や仕事量の関係から600万円台にとどまる層も存在する

このように、弁護士は「実力と環境によってレンジが非常に広くなる資格」 です。高収入の可能性は大きい一方で、「資格を取っただけで安泰」とは言えない面もあります。


■ 公認会計士

  • (公認会計士・税理士を含む区分)平均年収:およそ700万~750万円前後
  • 公認会計士のみ集計した場合:およそ900万円前後とする調査もある

参考記事では、

  • 大手監査法人に勤務すれば1,000万円前後は比較的狙いやすい
  • FAS(M&Aや企業価値評価など)に進めば2,000万円超も十分あり得る
  • ただし、医師ほど「下限が高い」わけではなく、景気やAIの影響を受けやすい

と整理されています。数字だけ見ると魅力的ですが、仕事の性質上、景気や会計基準の変化、AIによる自動化の影響を強く受ける点も押さえておく必要があります。

全国平均年収と比べるとどの位置にいるのか

では、これらの数字は「日本全体の平均」と比べてどれくらい高いのかを見てみましょう。

国税庁の統計によると、日本全体の給与所得者の平均年収はおよそ458万円前後です。この数字と照らし合わせると、

  • 日本の平均年収 … 約458万円
  • 公認会計士 … 約750万~900万円
  • 弁護士 … 約900万~1,100万円(中央値700万前後)
  • 医師 … 約1,300万円前後(勤務医ベース)

というイメージになります。三大国家資格はいずれも日本の平均年収を大きく上回る水準にあることがわかります。

沖縄県の平均年収──「全国最下位」というスタートライン

ここからが、沖縄で進路を考えるうえで、特に重要なポイントです。

各種統計のまとめによると、沖縄県の平均年収はおよそ394万円前後で、都道府県別では47位(全国最下位水準)となっています。また、求人情報を元にした調査では、

  • 募集時の平均月給:約19.4万円
  • 賞与を含めても年収230万~290万円程度にとどまるケースが多い

というデータもあります。

もちろん、これはすべての職種をまとめた「平均値」なので、医師や弁護士、公認会計士といった専門職はもっと高い水準になります。しかし、

  • 「日本全体の平均年収:約458万円」
  • 「沖縄県の平均年収:約394万円」

という差が存在することは、進路を考えるうえで見逃せません。

なぜ沖縄では公務員・インフラ・銀行が人気なのか

沖縄で中学・高校生の進路を見ていると、

  • 公務員
  • 電力会社やインフラ企業
  • 地元の銀行や信用金庫

といった職業が非常に人気です。

これは決して悪いことではなく、むしろ「地域経済を見据えた、合理的な選択」と見ることもできます。景気の波を受けやすい観光業や小売業が多い沖縄では、「安定した給与」「長く働ける組織」を重視する傾向が強まるのは自然な流れです。

一方で、東京圏の大企業や、全国展開しているIT企業、専門職などと比較すると、

  • 生涯年収が低くなりやすい
  • 昇給の幅が限られやすい

という側面もあります。

だからこそ、沖縄の子どもたちには、

  • 「地元で安定して働く」という選択肢
  • 「全国や海外も視野に入れて働く」という選択肢

の両方があることを知った上で、自分に合った道を考えてほしいと感じています。

勉強は“目的”ではなく“選択肢を広げる鍵”

ここまで、三大国家資格と日本全体・沖縄県の平均年収を数字で見てきました。

中学生と保護者にまずお勧めしたいのは、とてもシンプルですが、

「なりたい職業の平均年収と、地域差を一度一緒に調べてみること」です。

今はインターネット上に、公的機関や業界団体が公開している統計データが多数あります。「医師の平均年収は1,300万円前後」「沖縄県の平均年収は約394万円」というように具体的な数字を知ると、

  • なんとなく「いい感じの仕事」
  • なんとなく「安定してそう」

というあいまいなイメージが、

  • 「このぐらいの年収レンジで、このくらいの勉強や資格取得が必要」

という現実的な感覚に変わっていきます。

そのうえで、

  • 自分はどのくらいの生活水準を望むのか
  • そのためにどんな職業や働き方が合いそうか
  • そこへ到達するために、今どの教科の勉強を頑張るべきか

という「逆算」がしやすくなります。勉強はあくまで「未来の選択肢を増やすための鍵」であり、それ自体がゴールではありません。

AI時代のキャリア──“人にしかできない仕事”の価値が上がる

参考記事では、AIやシンギュラリティ(技術的特異点)についても触れられていました。内容を整理すると、おおよそ次のような傾向があります。

  • 医師:画像診断やデータ解析など一部はAIが得意になるが、身体に触れる行為や最終判断、患者とのコミュニケーションは人間の医師が担う可能性が高い
  • 弁護士:判例検索や契約書チェックはAIが得意になるが、交渉・説得・戦略立案など、人の感情や社会通念を扱う部分は人間の強みが残る
  • 公認会計士:定型的な集計・照合作業はAIに置き換わりやすいが、経営者との相談、グレーゾーンの判断、信頼関係を前提とした助言業務は人間が必要

つまり、これからの時代は、

「AIに任せやすい仕事」よりも、「人間ならではの判断や関係性が必要な仕事」の価値が高まる

と考えられます。

中学生の段階で、AIの細かい仕組みを理解する必要はありませんが、

  • 人と関わる力(コミュニケーション力)
  • 自分で考える力(思考力)
  • 状況に応じて判断する力(判断力)

といった人間的な力を伸ばしておくことが、どんな職業を選ぶにしても重要になっていく、という方向性だけはぜひ知っておいてほしいと思います。

まとめ──進路は“価値観”から始めよう

この記事を通して、伝えたいことを改めて整理すると、次のようになります。

  • 三大国家資格(医師・弁護士・公認会計士)は、いずれも日本の平均年収を大きく上回る
  • ただし、同じ資格でも働き方や環境によって年収レンジは大きく変わる
  • 沖縄県の平均年収は約394万円で、日本全体より低い水準にある
  • そのため、沖縄で進路を考えるときは「地域の現実」も踏まえて職業選択をする必要がある
  • 進路は「価値観」→「職業」→「学力」の順番で考えると整理しやすい
  • 勉強は、将来の選択肢を増やすための鍵であって、それ自体がゴールではない

沖縄の子どもたちには、

  • 地元で安定して働く道
  • 全国や海外で活躍する道

など、さまざまな可能性が開かれています。その入り口として、「年収」や「地域差」という現実的な数字に一度向き合ってみることは、決して夢をつぶす作業ではなく、むしろ夢に具体性と説得力を持たせるプロセスだと考えています。

この記事が、沖縄で高校受験・中学受験を考えているご家庭にとって、

「学力」と「職業」と「地域の現実」を結びつけて考える、ひとつのきっかけになれば幸いです。

執筆者:比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。講師歴20年以上。
学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。
「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。

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