参考記事の要約
出典:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
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- いじめ件数:全国で73万件超、前年比7%増。SNS上でのトラブルも増加。
- 暴力行為:約10万件、前年比14%増。
- 不登校(小中学校):34万6千人で過去最多(在籍児童生徒の3.7%)。理由は「学校生活への意欲低下」「不安・抑うつ」「生活リズムの乱れ」。
- 不登校(高校):6万8千人、前年比13.5%増。
- 中途退学率(高校):1.5%。進路変更が最多理由。
- 自殺:397人、前年より減少も依然深刻。
- 国の対応:スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの配置強化、不登校児童への多様な学びの場確保(フリースクール・オンライン学習など)、相談体制の充実。
沖縄県と全国の比較表(令和5年度)
指標 | 沖縄県 | 全国 | 備考 |
---|---|---|---|
小中学校 不登校児童生徒数 | 7,013人 | 約346,482人 | 沖縄は増加幅が大きい |
小中学校 不登校率(1,000人あたり) | 46.5人 | 約37.2人 | 全国平均を上回る |
高校 不登校生徒数 | 1,227人 | 約68,770人 | 全国で過去最多に近い水準 |
高校 不登校率(1,000人あたり) | 28.9人 | 約23.5人 | 沖縄は高め |
高校 中途退学者数 | 1,177人 | 46,238人 | 数値自体は横ばい |
高校 中途退学率 | 1.9% | 約1.5% | 沖縄はやや高め |
いじめ 認知件数 | 13,838件 | 732,568件 | 全国比で件数は小規模だが割合は高め |
いじめ率(1,000人あたり) | 63.8件 | 57.9件 | 沖縄は全国より高い |
学校は「小さな社会」
ある日、学習塾で中学生に「学校って勉強するだけの場所なんですか?」と聞かれました。
確かに学校は勉強の場です。でも、それだけではありません。
学校は「小さな社会」であり、人との関わり方を学ぶ場でもあります。
社会に出れば、気の合わない人や苦手な人とも一緒に働かなければなりません。そのときに必要なのが調整力や協働力です。学校生活での人間関係は、その練習なのです。
SNSとAIの時代における孤独
SNSやAIの普及で、一人の才能でも生きられるような印象があります。
しかし、一人で稼げても一人で生き続けることはできません。孤独は人を追い詰め、社会全体の活力を奪います。
子どもたちに「人は一人では生きられない」という本質をどう伝えるかは、家庭や地域を含めた大きな課題です。
不登校を「終わり」ではなく「きっかけ」に
不登校は「悪いこと」ではありません。大切なのは、その経験をどう意味づけるかです。
- 学校に行かないことで失うものは何か
- 代わりにどんな経験や努力が必要か
これを親子で一緒に考えることが、新しい成長の出発点になります。
フリースクールや地域の居場所など、学校以外の選択肢を活かしながら「誰かと協力し、何かを成し遂げる体験」を積むことが大切です。
学校の役割を問い直す
学校は時代に合わせて変わる必要がありますが、「学校が悪い」と他責にするだけでは解決しません。
保護者としてできることは次の3つです。
- 子どもの気持ちを聞く
- 家庭で小さな役割を任せる
- 学びの場を学校外にも広げる
これを実践するだけで、子どもの自己肯定感は大きく変わります。
将来につながる人間関係の経験
不登校の問題は、将来の結婚観や家族観、さらには少子化にもつながります。
「協力して何かを乗り越える」経験を持った子どもは、大人になってからも前向きに人間関係を築けます。
教育や家庭、地域社会全体で「人と協力する体験」をどう作るかが問われています。
まとめ ― 親子への問いかけ
- あなたのお子さんにとって、学校は「小さな社会」として機能していますか?
- 学校以外で、協力して何かを達成する場をどう見つけますか?
- 不登校になったとき、その経験をどう意味づけますか?
不登校はゴールではなく、新しい出発点です。
親子の対話を通して「どんな学びをどこで積むか」を一緒に考えることが、子どもの未来を切り拓く第一歩になるのではないでしょうか。
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