入試の難易度および傾向分析

2026年度(令和8年度)の沖縄県高校入試・国語は、全体として例年通りの標準的な構成と難易度でした。出題形式は近年の沖縄県入試とほぼ同じで、「小説・論説・古文漢文・資料読解+作文」というバランス型の問題です。極端に難しい問題や奇問は見られず、基礎的な読解力と記述力を丁寧に測る入試と言えます。
まず大問一は、堀江敏幸「なずな」を題材とした小説文です。この問題では、大きな出来事の理解よりも、登場人物の心情や人間関係の微妙な変化を読み取る力が求められました。特に「比喩表現」が何を意味するのかを考える設問があり、表面的な理解ではなく、文章全体の流れから意味をつかむ読解力が必要です。難易度自体は標準ですが、比喩表現の読み取りが苦手な生徒にはやや難しく感じられた可能性があります。
大問二は論説文で、日本と西洋の美意識の違いをテーマとした文章でした。内容の中心は「西洋の秩序・比例」と「日本の自然・情景」という対比構造です。この対比を正しく整理できれば、設問は比較的解きやすい問題でした。ただし、この大問では読解だけでなく、副詞・活用・自立語の数などの文法問題も含まれており、国語の基礎知識が求められています。文章の内容理解と国語知識の両方が必要になる点が特徴です。
大問三は古文と漢文の組み合わせ問題で、荘子の寓話「木と雁」が題材でした。内容は「材でも不材でもない生き方」という処世の知恵を示すもので、設問は歴史的仮名遣いの読み替えや漢字の書体の特徴など、基本的な知識問題が中心でした。古典としては比較的取り組みやすい内容で、難易度は低めと言えます。
大問四は資料読解の問題で、円グラフなどの資料と対話文を組み合わせた形式でした。年代による感じ方の違いなどを読み取る問題で、近年の入試で増えている実用的な情報読解型の問題です。また、この大問では敬語などの国語知識も問われています。
最後には条件作文が出題され、二段落構成・150〜180字程度という指定がありました。沖縄県の入試では作文の比重が比較的高く、文章構成を考えながら制限字数内で書く力が必要です。読解問題自体は標準レベルでも、作文の出来によって得点差がつきやすい試験だったと言えるでしょう。
総合的に見ると、2026年度の国語は難易度としては「標準〜やや易しい」レベルです。ただし、作文や記述に慣れていない生徒にとっては時間配分が難しく、そこで差が生まれた可能性があります。沖縄県の国語入試では、単に文章を読むだけでなく、文章構造の整理・比喩理解・自分の言葉で書く力が重要です。普段の学習でも、要約や記述の練習を積み重ねることが合格への近道と言えるでしょう。
2026年度(令和8年度)沖縄県高校入試国語解答
| 大問 | 設問 | 解答 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 一 小説文 | 問1 | エ | 1 |
| 問2 | (b) ばんたん / (C) 眺(め) | 各1 | |
| 問3 | ウ | 2 | |
| 問4 | ア | 2 | |
| 問5(1) | Ⅰ なずなのも / Ⅱ 私は守って | 各3 | |
| 問5(2) | (模範解答A)勉強で分からない問題を休み時間に教え合い、少し自信を取り戻す経験を重ねる (模範解答B)落ちこんだ友達の話を最後まで聞き合い、悩みを言葉にして気持ちを軽くする (模範解答C)家事を分担して忙しい家族の負担を減らし、おたがいに少し休める時間をつくる (模範解答D)失敗したときに責めず励まし合い、互いに次の一歩に進む勇気を持てるようにする |
4 | |
| 二 論説文 | 問1 | エ | 1 |
| 問2 | (1) 4 / (2) しばしば | 各1 | |
| 問3 | 人工 | 1 | |
| 問4 | ア | 2 | |
| 問5(1) | Ⅰ 交換可能な物 / Ⅱ 状況 / Ⅲ 実体 | 各2 | |
| 問5(2) | ウ・エ | 各3(計6) | |
| 三 古文・漢文 | 問1 | たまえり | 1 |
| 問2 | ウ | 1 | |
| 問3 | 身を致さむ | 2 | |
| 問4 | ア | 2 | |
| 問5 | イ | 3 | |
| 四 資料を参考にした対話文 | 問1 | イ | 2 |
| 問2 | ウ | 2 | |
| 問3 | おっしゃった | 2 | |
| 問4 | ウ | 2 | |
| 問5 | イ | 2 | |
| 問6 | 【模範解答①(約165字)】 昼休みの教室で友達と笑い合う場面を短歌で詠みたい。何気ない時間ほど中学校生活らしさがあり、ふと目に入る表情が心に残るからだ。工夫は二つ。まず教室の光や声など情景を具体的に入れる。次に五七五七七のリズムが心地よくなる言葉を選ぶ。【模範解答②(約171字)】 部活後の校庭で、息を整えながら友達と話す場面を詠みたい。疲れと達成感が混ざる瞬間に、仲間との一体感が強く表れると思うからだ。工夫は二つ。夕焼けや土の匂いなど想像が広がる情景を入れる。さらに比喩を使い、短い言葉で動きを伝える。【模範解答③(約176字)】 放課後の教室で友達とテスト勉強をする場面を短歌で詠みたい。点が取れるか不安でも、励まし合うことで前向きになれる時間だからである。工夫は二つ。ノートをめくる音や静けさなどを入れて空気を描くこと。もう一つは感情が伝わる言葉を選び、余韻が残る結びにすること。 |
6 |
1.小説文(堀江敏幸の「なずな」より)
① 文章の要約

物語の語り手である「私」は、夕方の町の喫茶店「美津保」で、店のママや常連客たちと会話をしている。そこでは、酒やオレンジジュースを飲みながら、世間話のように健康や疲れ、生活のことなどが語られている。私は普段あまり酒を飲まないが、その場の雰囲気の中で少しずつ飲み、周囲の人との会話を続ける。話題の中では、娘の明美が病気で入院していたことや、その退院が決まったことにも触れられる。私は娘の退院を喜びながらも、どこか落ち着かない気持ちを抱えている。
店を出て家に帰ると、静かな夜の空気の中で物音が聞こえ、私はふと不安な気持ちになる。玄関の近くで、何かが近づいてくるような気配を感じると、急に体が緊張し、思わず身構えてしまう。周囲の静けさの中で、私は自分が守られているのか、それとも危険にさらされているのか、はっきりしない感覚を抱く。こうした出来事を通して、「私」は人とのつながりや自分の置かれている状況について考えながら、静かな夜の中で不思議な感覚に包まれていく。
② この文章を読むときの解説
(1)この物語で大事なのは「出来事」より「気持ち」
この小説では、大きな事件が起きているわけではありません。喫茶店で会話をしたり、家に帰ったりするなど、日常の出来事が描かれています。しかし、入試問題では出来事そのものではなく、「私」の気持ちの変化を読むことが大切です。特に「娘が退院するという安心」「夜の家で感じる不安や緊張」次の2つに注目してください。つまりこの場面は安心と不安が入り混じった心の状態が描かれています。
(2)会話は「人物の性格」を知るヒント
喫茶店での会話は、ただの雑談ではありません。入試では、会話から次のことを読み取ります。「登場人物の性格」「人と人との関係」「その場の雰囲気」例えば、「ママ → 面倒見がよく、周囲を気づかう人」「常連客 → 気楽に話す町の人」
「私 → 落ち着いているが、どこか不安を抱えている」という人物像が見えてきます。
(3)夜の場面は「心の不安」を表している
家に帰る場面では、「静かな空気」「車のドアの音」「玄関の気配」などが細かく描かれています。これは単なる風景ではなく、「私」の不安な気持ちを強めるための表現です。小説ではよく、「暗さ」「静けさ」「物音」などを使って、登場人物の心理を表します。
③ 問題の解説(問3~問5)
問3(正解:ウ)解説
傍線部①「こういうときはあったかいものを飲むと楽になるよ」とあるが、この「こういうとき」がどのような状態を指すのかを考える問題です。
本文では、登場人物が明らかな病気というわけではないものの、体調がすぐれず気分も重いような様子が描かれています。そのようなときに、体を温める飲み物を飲むと楽になる、という意味でこの言葉が使われています。
したがって、「病気ではないが、体調が悪く気分も優れない」という内容を表している ウ が最も適切です。
この問題では、「こういうとき」が何を指しているかを、前後の文脈から読み取る力が問われています。
問4(正解:ア)解説
傍線部②「白魚のような」の表現が、何をたとえているかを考える問題です。
「白魚」は、小さく白く透き通った魚で、細くてきれいなもののたとえとして使われることがあります。本文では、この表現が後に続く言葉と結びついて、堀の様子を美しく表現しています。
つまり、「白魚のような」という比喩表現は、堀 の様子をたとえていることになります。
したがって、正解は ア(堀) です。
小説では、このように自然や物の様子を別のものにたとえて表す「比喩表現」がよく使われます。どの言葉を説明しているのかを、後ろに続く語句から判断することが大切です。
問5(1)解説
この問題では、本文の最後に引用されている詩「生命は」と本文の内容との関係を考えながら、本文中の言葉を抜き出す力が問われています。
詩では、「生命はすべて誰かに支えられて生きている」という考え方が示されています。つまり、人は一人だけで生きているのではなく、周りの人や存在に支えられて生きているという意味です。
本文でも、「私」となずな、そして周りの人々の関係の中で、互いに支え合いながら生きている様子が描かれています。
そのことを表す本文中の言葉として、次の部分を抜き出します。
- Ⅰ なずなのも
- Ⅱ 私は守って
これらの言葉から、「私」がなずなを守ろうとしていること、そして互いの存在が支えになっていることが読み取れます。
問5(2)解説
この問題は、「支え合う」というテーマについて、自分の経験や考えを具体的に書く作文問題です。
条件として、35字以上50字以内で、自分が相手とどのように支え合ったことがあるか、またはこれからどのように支え合っていきたいかを具体的に書く必要があります。
ここでは、中学生の生活の中で考えやすい内容の模範解答をいくつか示します。
模範解答A
勉強で分からない問題を休み時間に教え合い、少し自信を取り戻す経験を重ねる
模範解答B
落ちこんだ友達の話を最後まで聞き合い、悩みを言葉にして気持ちを軽くする
模範解答C
家事を分担して忙しい家族の負担を減らし、おたがいに少し休める時間をつくる
模範解答D
失敗したときに責めず励まし合い、互いに次の一歩に進む勇気を持てるようにする
このように、具体的な行動を書き、相手と「お互いに」支え合う関係が伝わる内容にすると、条件に合った答案になります。
抽象的な表現だけではなく、「教え合う」「話を聞き合う」「家事を分担する」など、日常の具体的な行動を書くことが大切です。
2.論説文(田中真知「美しいを探す旅にでよう」/高階秀爾「日本人にとって美しさとは何か」)
① 文章の要約
【文章1】
日本と西洋では自然のとらえ方が異なり、それが庭園の作り方にも表れていると述べている。西洋の庭は、植物や噴水などを整えて配置し、人が自然を整理して美しさを作り出す。一方、日本の庭は石や砂で山や川を表す枯山水のように、自然を象徴的に表し、見る人の想像力によって意味が広がる。また、日本では自然をそのまま生かすことが重視される。つまり、日本の美は自然との調和の中で感じ取られるものだと説明している。
【文章2】
西洋では古代ギリシャ以来、美しさには比例や秩序などの客観的な原理があると考えられてきたことを説明している。人体の頭身や左右対称など、部分と全体のバランスによって美が生まれるという考え方である。一方、日本の美意識では、一定の法則よりも、出来事が起こる瞬間や状況の中に美を見いだす傾向がある。たとえば「古池や蛙飛びこむ水の音」という俳句のように、出来事によって生まれる情景そのものに美を感じるのである。
【文章1】と【文章2】の共通点
①:日本と西洋の美の考え方を比較している
②:西洋は「秩序・法則・形」を重視する美意識
③:日本は「自然・状況・感覚」を重視する美意識
④:文化の違いによって美の感じ方が変わることを説明している
つまり両方とも「美とは何か」を日本と西洋の違いから説明する文章です。
② この文章を読むときの解説
この文章を読むときのポイントは、対比構造です。筆者は一貫して
西洋の美意識 vs 日本の美意識
という形で説明しています。
整理すると次のようになります。
| 西洋 | 日本 |
|---|---|
| 人間が自然を整理する | 自然を生かす |
| 秩序・比例・法則 | 情景・状況 |
| 形の美 | 感覚の美 |
文章1では、庭園を例に説明しています。
文章2では、美の理論(比例)と俳句を例に説明しています。
つまり、具体例は違うが、主張は同じです。
③ 問題の解説(問1~問5)
問1 動詞の活用形
答え:エ
動詞の活用形は、語尾ではなく後ろに続く語を見ると判断しやすくなります。
| 活用形 | 後ろに続く語(目印) |
|---|---|
| 未然形 | ない・う・よう |
| 連用形 | ます・た・て・で |
| 終止形 | 。・と |
| 連体形 | 名詞(体言) |
| 仮定形 | ば |
二重傍線部「咲か」は
咲かない
となるため未然形です。
| 選択肢 | 語 | 目印 | 活用形 |
|---|---|---|---|
| ア | 探して | て | 連用形 |
| イ | 行くと | と | 終止形 |
| ウ | 持つ人 | 体言 | 連体形 |
| エ | 話さない | ない | 未然形 |
よって、同じ未然形なのはエです。
問2(1)自立語
答え:4
自立語とは、それだけで意味が分かる言葉です。
| 品詞 | 例 |
|---|---|
| 名詞 | 学校・本 |
| 動詞 | 行く |
| 形容詞 | 高い |
| 副詞 | とても |
文を語ごとに分けると次のようになります。
| 語 | 品詞 | 自立語 |
|---|---|---|
| 現在 | 名詞 | ○ |
| でも | 助詞 | × |
| しばしば | 副詞 | ○ |
| 話題 | 名詞 | ○ |
| と | 助詞 | × |
| なる | 動詞 | ○ |
自立語は
- 現在
- しばしば
- 話題
- なる
よって4つです。
問2(2)副詞
答え:しばしば
副詞とは、動詞や形容詞などをくわしく説明する言葉です。
| 副詞の例 |
|---|
| とても |
| よく |
| しばしば |
本文では
しばしば話題となる
とあり、「話題となる」を説明しているため副詞はしばしばです。
問3 語句
答え:人工
問題文では
- 「自然」の対義語
- 自然の事物や現象に人間が手を加えること
と説明されています。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 自然 | 人の手が加わっていないもの |
| 人工 | 人の手で作られたもの |
よって答えは人工です。
問4 内容理解
答え:ア
文章2では、西洋の美意識について説明されています。
| 西洋の美意識 |
|---|
| 比例 |
| 秩序 |
| バランス |
つまり、美は秩序ある原理によって生まれるという考え方です。
| 選択肢 | 本文との関係 |
|---|---|
| ア | 秩序ある原理 → 本文と一致 |
| イ | 本文の中心ではない |
| ウ | 本文にない |
| エ | 具体例にすぎない |
問5(1)表の空欄
Ⅰ 交換可能な物
Ⅱ 状況
Ⅲ 実体
| 日本の美意識 | 西洋の美意識 | |
|---|---|---|
| 具体例 | 枯山水・俳句 | ガーデニング・ギリシャ彫刻 |
| 抽象 | どのような場合に美が生まれるか | 何が美であるか |
| 美の考え方 | 状況の美 | 実体の美 |
問5(2)内容理解
答え:ウ・エ
本文の主題は日本と西洋の美意識の違いです。
| 選択肢 | 判定 | 本文とのズレ |
|---|---|---|
| ア | × | 西洋の方が豊かな感覚とは本文に書かれていない |
| イ | × | 日本の美は「客観」ではなく「状況」 |
| ウ | ○ | 俳句 → 情景・状況の美 |
| エ | ○ | 西洋の庭 → 草花を配置する視覚的な美 |
| オ | × | 植物の種類ではなく美の考え方の違いが主題 |
3.古文・漢文の和訳
① 文章の和訳
古文(十訓抄)
荘子が山を通りかかったとき、木を切っている人がいた。 その人は、まっすぐな木は切り、曲がった木は切らなかった。 また、荘子がある人の家に泊まったとき、その家には二羽の雁がいた。 主人は、よく鳴く雁は生かしておき、鳴かない雁を殺した。 翌日、弟子が荘子に言った。「昨日見た山の木は、まっすぐな木が切られ、曲がった木は切られませんでした。また、家の雁は、よく鳴くものは生かされ、鳴かないものは殺されました。役に立つ木でも切られ、鳴かない雁は殺されてしまいます。」 すると荘子は言った。「世の中のありさまというものは、この話の通りなのだ。」
漢文の和訳
木と雁の話は、必ず書きとめて覚えておきなさい。人が世の中で身を処するには、役に立つ者(材)と役に立たない者(不材)の間に身を置くのがよい。
古文の解釈
古文では、荘子が見た二つの出来事が語られている。
| 場面 | 出来事 |
|---|---|
| 山の木 | まっすぐで役に立つ木は切られ、曲がった木は切られない |
| 家の雁 | よく鳴く雁は生かされ、鳴かない雁は殺される |
この二つの出来事から、弟子は「役に立っても、役に立たなくても不幸になる場合がある」という矛盾に気づく。荘子はこれを見て、「世の中とはこのようなものだ」と語っている。
漢文の解釈
漢文では、古文の出来事から導かれる教訓がまとめられている。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 材 | 役に立つ人・有能な人 |
| 不材 | 役に立たない人 |
世の中では、能力がありすぎると利用されたり危険にさらされたりすることがあり、逆に能力がなさすぎると見捨てられることもある。そのため、荘子は「材と不材の間」、つまり極端にならない位置に身を置くことが大切だと考えたのである。
古文と漢文に共通する考え
古文は「具体的な出来事(木と雁の話)」を示し、漢文はそこから導かれる「人生の教訓」をまとめている。
| 文章 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 古文(文章1) | 具体例 | 木と雁の出来事を通して世の中の矛盾を示す |
| 漢文(文章2) | 教訓 | 材と不材の間に身を置くという処世の知恵を示す |
この二つの文章が伝えているのは、「世の中では、極端に優れていても、極端に劣っていても生きにくいことがある。だからこそ、ほどほどの位置に身を置くことが大切である」という荘子の考え方である。
古文・漢文(荘子「木と雁」)解答解説
問1 二重傍線部a「たまへり」を現代仮名遣いに直す
解答:たまえり
この問題は、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題です。本文は「答へたまへり」とあり、ここで「へ」は現代仮名遣いでは「え」になります。たまへり → たまえり
よく出る歴史的仮名遣いの直し方
| 歴史的仮名遣い | 現代仮名遣い | 例 |
|---|---|---|
| へ | え | たまへ → たまえ |
| ゐ | い | ゐる → いる |
| ゑ | え | ゑむ → えむ |
| ほ | お | ほほ → おお |
| を | お | をかし → おかし |
入試でよく出る類題(直しの練習)
| 古語(歴史的仮名遣い) | 現代仮名遣い |
|---|---|
| おぼゆ | おぼえる |
| あはれ | あわれ |
| いふ | いう |
| かへる | かえる |
| たまへ | たまえ |
問2 行書の特徴(点画の省略)
解答:ウ
行書は楷書よりも筆の流れを重視する書体なので、文字の一部を省略して続けて書く特徴があります。今回の「記」は「言+己」から成り、行書では「言」の点画(特に横画)が簡略化されやすいため、その特徴が見られるウが正解です。
行書でよく見られる省略のパターン
| 楷書の部品 | 行書での特徴 | 説明 |
|---|---|---|
| 言 | 横画の省略 | 横線が減ったり、つながって簡略化される |
| 門 | 内部の省略 | 中の線が減り、形が簡略化される |
| 心 | 点の省略 | 点がつながったり省略される |
| 草冠 | 二画に簡略化 | 三画→二画の形になりやすい |
類題(省略されやすい例)
| 漢字 | 省略されやすい部分 |
|---|---|
| 語 | 言偏 |
| 記 | 言偏 |
| 謝 | 言偏 |
| 聞 | 門構え |
| 感 | 心 |
問3 空欄Aに入る書き下し文
解答:身を致さむ
本文の漢文は「致身 材与不材間」で、語順を整えて書き下すと、
身を致さむには、材と不材との間に。
となります。「致身」は身の置き方・処し方、「む」は意志・推量を表します。
問4 「材」「不材」の意味
解答:ア
文章1の具体例より、「材」「不材」は善悪ではなく、役に立つかどうかの意味で使われています。
| 語 | 意味 |
|---|---|
| 材 | 役に立つもの |
| 不材 | 役に立たないもの |
この意味の組み合わせに当てはまるのがアです。
問5 文章の内容
解答:イ
まず、文章1の内容を現代語に直して確認します。
文章1(現代語訳)
荘子が山を通りかかったとき、木を切っている人がいた。その人は、まっすぐな木は切り、曲がった木は切らなかった。また、ある人の家に泊まったとき、そこには二羽の雁がいた。主人は、よく鳴く雁は生かし、鳴かない雁を殺した。翌日、弟子が荘子に言った。「昨日見た山の木は、まっすぐな木が切られました。また、家の雁は、鳴かないものが殺されました。」すると荘子は、「世の中というものは、このようなものだ」と答えた。この内容から、世の中では次のようなことが起こるとわかります。
| 状態 | 結果 |
|---|---|
| 役に立つ(直な木) | 利用され、切られてしまう |
| 役に立たない(鳴かない雁) | 見捨てられ、殺されてしまう |
つまり、どちらに偏っても生きにくいということです。そこで文章2では、「材」と「不材」の間に身を置くという荘子の考えが示されます。この内容を最もよく表しているのがイです。
4.資料を参考にした対話文
要約(200字程度)
短歌の授業で、生徒たちは「テキスト中 ふと目に入る友達の( )」という上の句に続く下の句を作った。授業では、短歌の魅力についての年代別アンケートを比較し、若い世代は理由が分散する一方、年配の世代は「リズムの心地よさ」を重視する傾向があることを確認した。そのうえで生徒たちは、情景や言葉の効果を意識しながら短歌を作り、表現の工夫や短歌の面白さについて話し合った。
解釈(本文の読み取り)
① 授業の流れ(何をしている文章か)
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 短歌の好きな理由をグラフ(年代別)で確認する |
| ② | 年代による感じ方の違いを比べて考える |
| ③ | 上の句に続く下の句(七・七)を創作する |
| ④ | 生徒が作品の工夫を言葉で説明し合う |
→ 短歌を「読む」だけでなく、「作る」「考える」ことで表現の特徴を理解する授業である。
② グラフ(資料)から読み取れること
| 世代 | 特徴 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 10~30代 | 「感情」「リズム」「身近さ」など理由が分散 | 短歌の魅力を多面的に感じている |
| 40~60代 | 「リズムが心地よい」が最も多い | 音の調子・整いを重視する傾向がある |
→ 短歌の魅力は一つではなく、世代によって重視点が異なる。
③ 生徒の発言(創作の工夫)
| 生徒 | 工夫のポイント | ねらい |
|---|---|---|
| Aさん | 心に残った光景を意識して詠む | 読者が情景を思い浮かべやすくする |
| Cさん | 「窓の外見つめる」など静かな場面設定 | 言葉から雰囲気(落ち着き)を伝える |
| Bさん | 「扇のようにめくるページ」など比喩に注目 | 言葉の表現で情景をリアルにする |
→ 短歌は字数が少ない分、「情景」「言葉選び」「比喩」などの工夫が作品の印象を左右する。
④ まとめ(この文章が伝えたいこと)
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | 短歌の魅力と表現の工夫 |
| 本文の中心 | 資料(アンケート)で短歌の魅力を整理し、創作を通して理解を深める |
| 結論 | 短歌は自由に感情や情景を表せるが、言葉の工夫が重要である |
問題の解説
問1(解答:イ)
ポイント:資料(円グラフ)の「最も多い項目」を年代別に正確に読む。
| 世代 | 最も多い項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 10代〜30代 | 感情を詠みやすい | 23% |
| 40代〜60代 | リズムが心地よい | 34% |
会話文でも、若い世代は回答が分散している一方、年配の世代は「リズムが心地よい」が目立つことが確認できます。以上より、資料の読み取りと合致するのはイです。
問2(解答:ウ)
ポイント:波線部Aの発言が、話し合いの中で果たす「役割」を判断する。
波線部Aは、資料(グラフ)の結果を根拠にして、話し合いを次に進めるための整理をしています。したがって「話し合いの方向性を整理する役割」が最適です。
| 選択肢 | 役割(要旨) | 本文との一致 |
|---|---|---|
| ア | 学習を思い出させる | 弱い |
| イ | 発言とグラフを関連付ける | 一部あり |
| ウ | 話し合いの方向性を整理する | 強い |
| エ | 脱線を修正する | 該当薄い |
問3(解答:おっしゃった)
ポイント:「言った」を尊敬語に直す。尊敬語は、相手(目上の人)の動作を高めて表す敬語。
| 基本形 | 尊敬語 | 例文 |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 先生が大切なことをおっしゃった。 |
よって、二重傍線部①「言った」を尊敬語にすると「おっしゃった」です。
入試でよく出る敬語(重要)
| 基本動詞 | 尊敬語 | 謙譲語 |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す・申し上げる |
| 行く | いらっしゃる | 参る |
| 来る | いらっしゃる | 参る |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 聞く | お聞きになる | うかがう |
| 食べる | 召し上がる | いただく |
| する | なさる | いたす |
| 知る | ご存じだ | 存じる |
覚え方:尊敬語=相手を高める/謙譲語=自分を低くする。
問4(解答:ウ)
ポイント:会話文の特徴(先生の関わり方)を読み取る。
本文の会話では、生徒の作品発表後に先生が良い点を示し、さらに推敲につながる助言をしています。これは生徒の意欲を高め、作品をより良くする方向へ導く関わり方です。したがって答えはウです。
問5(解答:イ)
ポイント:比喩表現で「動き」を具体的に想像させている。
Bさんの「扇のようにめくるページ」は、ページをめくる動作を具体的に思い浮かべさせる表現です。したがって「具体的な動作で情景を表す」が最適で、答えはイです。
問6(作文)模範解答(3例)
条件:二段落構成/150〜180字/題名なし(本文から開始)/第1段落=場面+理由/第2段落=工夫2つ。
模範解答①(約165字)
昼休みの教室で友達と笑い合う場面を短歌で詠みたい。何気ない時間ほど中学校生活らしさがあり、ふと目に入る表情が心に残るからだ。工夫は二つ。まず教室の光や声など情景を具体的に入れる。次に五七五七七のリズムが心地よくなる言葉を選ぶ。
模範解答②(約171字)
部活後の校庭で、息を整えながら友達と話す場面を詠みたい。疲れと達成感が混ざる瞬間に、仲間との一体感が強く表れると思うからだ。工夫は二つ。夕焼けや土の匂いなど想像が広がる情景を入れる。さらに比喩を使い、短い言葉で動きを伝える。
模範解答③(約176字)
放課後の教室で友達とテスト勉強をする場面を短歌で詠みたい。点が取れるか不安でも、励まし合うことで前向きになれる時間だからである。工夫は二つ。ノートをめくる音や静けさなどを入れて空気を描くこと。もう一つは感情が伝わる言葉を選び、余韻が残る結びにすること。








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