沖縄高校入試の特色選抜は“推薦”ではない──新潟の廃止から考える、これからの受験戦略

本記事の要約

新潟県が公立高校入試の「特色化選抜」を廃止し、一般選抜へ統合する方針を示しました。その背景には、部活動の地域移行や制度整理の必要性があります。一方、沖縄県の「特色選抜」は現在も継続していますが、学力検査は必須であり、決して“推薦型の近道”ではありません。倍率が高い今こそ制度を正しく理解し、部活動や実績に頼りすぎず、基礎学力を土台に準備を進めることが重要です。制度は変わっても、求められる学ぶ力は変わりません。


参考記事の要約(新潟:特色化選抜の廃止)

今回のテーマのきっかけになったのは、新潟県で「特色化選抜」が廃止になるというニュースです(参考リンクは下に掲載)。

新潟県教育委員会の公式資料では、令和9年度入学者選抜(=現在の中学2年生が受ける入試)から制度が変わり、現行の「特色化選抜」を廃止するとしています。廃止の趣旨として、

  • 中学校部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行を踏まえること
  • 中学生がより主体的に高校を選択できるよう、一般選抜に「学校設定枠」(学校が定める募集枠)を設けること

が示されています。

つまり新潟は、「特色」という別枠を残すより、一般選抜の中で学校が求める生徒像(アドミッション・ポリシー:学校が求める入学者像)に沿った枠へ整理していく方向です。

参考(公式資料)
・新潟県教育委員会(報道資料):令和9年度入学者選抜からの制度変更(特色化選抜の廃止/学校設定枠の新設)
https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/429445.pdf

まず大前提として、沖縄の「特色選抜」は“昔の推薦”とは別物です

ここがいちばん大事なので、最初に釘(くぎ)を刺します。

沖縄の特色選抜は、よく「推薦みたいなもの」と言われますが、“勉強しなくていい制度”ではありません
特色選抜でも、学力検査(5教科のテスト)を受ける前提で制度設計されています。

そして、特色選抜をちゃんと理解したい方は、まずこちらの記事で土台を作ってください(この記事内では説明を短くし、社説パートに集中します)。

沖縄県高校入試の「特色選抜」とは?
https://juku.okinawa/2025/10/07/沖縄県高校入試の「特色選抜」とは?

沖縄の現状:特色選抜は「倍率が高い=人気枠」になっている

2026年度入試の初回志願状況では、特色選抜(全日制)は定員3989人に対して志願4856人、倍率1.22倍。一般選抜(全日制)は倍率0.96倍と報じられています。

さらに、特色選抜の最高倍率は那覇国際(普通)4.44倍という数字も出ています。

数字が示すのはシンプルです。
特色選抜は「勝負枠」になっている。だからこそ、制度の誤解が残ったままだと、受験戦略がズレます。

(注釈)倍率(ばいりつ):志願者数 ÷ 定員。1.00倍なら「定員と同じ人数が出願」。1.50倍なら「定員の1.5倍が出願」です。

新潟と沖縄:特色選抜(特色化選抜)の比較表

ここからが本題です。新潟の廃止を、そのまま沖縄に当てはめるのは乱暴ですが、“何が違い、何が共通しているか”を一度、整理しておくと判断しやすくなります。

項目 新潟県(特色化選抜:廃止へ) 沖縄県(特色選抜:現行)
制度の動き 令和9年度入学者選抜から特色化選抜を廃止 現時点では継続(日程・実施要項に基づき運用)
廃止・見直しの理由 部活動の地域移行を踏まえる/一般選抜に学校設定枠を導入 (廃止の公式方針は現時点で確認されず)
評価の考え方 調査書(内申)・学力検査・学校が定める検査等を総合判断(学校設定枠) 学力検査を土台に、調査書・面接等・学校独自の評価を組み合わせる設計(学校ごとに募集要項)
運用上のポイント 特色の“別枠”をやめ、一般選抜の枠組みに整理 特色と一般が並走(出願期間や合格発表日程は同じ枠組みで運用)

※新潟:新潟県教育委員会の報道資料より(特色化選抜の廃止/学校設定枠の新設)。
※沖縄:沖縄県公式の入試関連情報ページ(特色選抜の日程・実施要項)および各校の募集要項に基づく運用。

結局、これからは「勉強から逃げない受験」しか残らない

ここから先は、私の意見(=社説)です。先に言い切ります。

推薦っぽい“イメージ”で特色選抜に寄りかかる受験は、これから通用しづらくなると思います。

理由は2つです。

  • 1つ目:制度は社会の変化で必ず動く
    新潟は、部活動の地域移行という大きな流れを踏まえて制度を整理しました。学校の中の部活実績が、制度設計の中心に置きにくくなるからです。
  • 2つ目:人気枠ほど「誤解」が溜まる
    沖縄の特色選抜は高倍率です。「特色ならワンチャンある」と考える家庭が増えるほど、制度の目的(=学校が求める生徒像との一致)からズレやすくなります。

もちろん、部活や生徒会、資格、探究(たんきゅう:自分で問いを立てて調べ深める学習)の努力は価値があります。
ただし、それだけで合格できる時代ではない。ここは冷静に押さえておきたいところです。

部活動の地域移行が進むと、特色枠はどうなる?(3つのシナリオ)

ここは未来の話なので、断言はできません。ですが、起こりやすい順に「シナリオ」を置きます(※私見です)。

  1. シナリオA:特色枠は残るが、評価の中心が変わる
    部活動“実績”より、学力+面接+探究・表現(プレゼン等)へ寄っていく。
  2. シナリオB:特色枠の割合が縮小し、一般の比重が増える
    特色の倍率が高すぎる/運用が複雑になるほど、「一般の中に吸収」へ近づく可能性。
  3. シナリオC:名称や形を変えて“整理”される
    新潟のように、特色という独立枠をやめ、一般選抜の中に学校独自の枠(学校設定枠のようなもの)を作る方向。

繰り返しますが、これは可能性の話です。
ただ、どのシナリオになっても共通するのは、「学力(基礎学力+思考力+読解力)が土台」という点です。

中学生・保護者が今すぐできる「ぶれない」対策

制度がどう動くかは、私たちが決められません。
でも、合否に効く準備は、今日からできます。

  • ① 特色選抜を“推薦”と呼ばない
    呼び方がズレると、準備もズレます。まずは制度の土台理解を。
  • ② 学力を落とさない(ここが最優先)
    特色を狙う子ほど、一般でも戦える学力を作る。これは保険ではなく、主戦力です。
  • ③ 調査書(内申)を「戦略」として見る
    調査書は“おまけ”ではありません。提出物・授業態度・定期テストを、淡々と積み上げる。
  • ④ 面接は「言い方」より「中身」
    部活で頑張った、で止めず、「何を工夫し、何を学び、次にどう活かすか」まで言語化。
  • ⑤ 迷ったら、まず基礎解説を確認
    特色選抜の全体像は、こちらの記事に整理しています(内部リンク)。

制度は変わる。でも“学ぶ力”は変わらない

新潟の制度変更は、「特色枠の是非」というより、教育環境の変化に制度を合わせる動きとして読むのが自然です。

沖縄でも、部活動の地域移行が進めば、特色選抜の評価の置き方が変わる可能性はあります(※私見)。
ただ、どんな制度になっても、最後に生徒を助けるのは、毎日の学習の積み重ねです。

特色選抜は、近道ではありません。
「学力を土台に、自分の強みを言葉にして伝える」ための舞台です。

この視点を、家庭の共通言語にできたとき、受験は一段、安定します。

参考・出典(ファクトチェック)

執筆者情報

比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。講師歴20年以上。学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。

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