記事要約
不登校は「怠け」ではなく、日常に積み重なった小さなストレスで心のエネルギーが尽きたサインです。令和の子どもは学業やSNSで常に“オン”状態にあり、限界を超えやすい環境にあります。まずは休息と回復が優先で、登校を急がせることが解決ではありません。学力は学び直しで取り戻せる場合も多く、私立無償化など制度的支援もあります。親が一人で抱え込まず、外部支援を活用しながら、回復から進路へと戦略的に設計することが大切です。


「まさか自分の子が不登校になるなんて……」
この言葉を口にする保護者の方は少なくありません。突然、学校へ行けなくなったわが子を前にすると、ショックで頭が真っ白になり、「自分の育て方が悪かったのでは」と自分を責めてしまいがちです。
でも、ここでいったん立ち止まって考えたいのです。不登校は“善悪”で裁く話ではなく、心のエネルギー(注:がんばる力・回復する力)が底をついたサインとして理解したほうが、次の一手が見えやすくなります。
この記事は、参考記事の要約を踏まえたうえで、沖縄の受験現場の視点も交えながら、「休む→回復→学び直し→進路」を現実的に組み立てるための社説(注:社会の出来事に対して筆者の考えを述べる文章)としてまとめます。口調はやわらかく、過激な表現は避けます。
参考記事の要約
参考記事:
【不登校はなぜ増える?】親世代の昭和より”令和の子ども”のほうがよっぽど疲弊している納得の事情(東洋経済オンライン)
参考記事が伝えている中心メッセージは、次の整理です。
- 不登校の背景には「小さなストレスの蓄積」がある(いじめや成績不振のような大きな出来事だけではない)
- 親が混同しやすいのは「原因」と「きっかけ」の違い。友達トラブルは“引き金”でも、長引くなら本当の原因は別にある可能性が高い
- 令和の子どもは、授業・宿題・部活・塾・習い事に加え、SNSで24時間つながる環境に置かれ、オフがない
- ストレスを「水」にたとえると、昭和の子のコップは4割、令和の子のコップは8割。そこへ出来事が起きると溢れやすい
- 「甘やかしたから不登校」は誤解。回復が追いつかないまま登校を急がせると、子どもはさらに追い詰められる
- アドラー心理学(注:人間関係の考え方を整理する心理学の一つ)の「課題の分離」(注:親の課題と子の課題を分ける考え方)が重要
つまり参考記事は、「不登校=怠け」ではなく、“限界”を知らせるSOSとして捉え、回復のための向き合い方(特に親側の焦りと境界線)を整理しています。
ファクトチェック:不登校は本当に増えているのか?(根拠リンクあり)
「不登校が増えている」という話は、印象論だけで語るべきではありません。文部科学省の調査で、数字として確認できます。
文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等 生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(公表日:2024年10月31日)では、小・中学校の不登校児童生徒数が合計346,482人と示されています(過去最多)。
出典(PDF):文部科学省 調査結果(資料)
ここから言えるのは、「一部の家庭の問題」だけでは説明できない規模だということです。社会・学校・家庭・子どもの生活環境、その全体の負荷設計が問われています。
【社説】不登校の「何が悪い」のか?——常識を疑うところから始めよう
ここからは私の意見です(注:以下は一般論であり、個別の状況によって最適解は変わります)。
不登校の何が悪いのでしょうか。
「学校に行ける/行けない」は、まず状態です。
それを“道徳”や“努力不足”の話にすると、家庭はすぐに行き詰まります。なぜなら、子どもは「行けない」ことを責められるほど、心のエネルギーがさらに削られるからです。
そして保護者は、責めてしまった自分を責めます。
結果として、親も子も消耗し、回復の道が遠のく。これは本当に多いパターンです。
参考記事が示していた「コップの水」のたとえは、家庭の会話を変える力があります。
溢れた子に必要なのは説教ではなく、まず水を減らすこと。つまり、負荷を下げ、回復を最優先にすることです。
学力は取り戻せる時代——ただし「親が一人で抱える」と崩れる
私は沖縄で中学受験・高校受験の情報発信と指導を続けていますが、現場感覚としてはっきり言えることがあります。
学力の遅れは、取り戻せることが多い。
理由はシンプルで、今は学び直し(注:遅れを埋め直す学習)の手段が増えたからです。
- 映像授業・オンライン教材
- 個別指導
- 学校外の学習支援(教育支援センター等)
- 家庭学習の設計(やる量・順番・環境づくり)
ただし、ここで最大の落とし穴があります。
保護者が「私が全部なんとかする」と一人で背負うことです。
不登校が続くほど、親は不安になり、焦ります。
焦りは言葉になり、言葉は圧になります。圧は子どもに「否定された」と伝わり、子どもは心のシャッターを下ろす。
この循環に入ると、家庭の空気がずっと重くなります。
だから私は、最初の方針としてこう提案します。
- 家庭の支援は「チーム戦」にする(親一人で抱えない)
- 学校・支援機関・民間サービスを「使う前提」で設計する
- 親の体力(睡眠・相談相手・役割分担)を先に確保する
子どもを支える土台は、親が倒れない仕組みです。
「第三の居場所」は逃げ道ではなく、回復の動線(注:回復へ向かう道筋)
【感想】にもあった通り、今は選択肢があります。
教育支援センター、フリースクール、オンライン学習、相談機関——こうした場を「敗北の証拠」にしないことが大切です。
文部科学省も、不登校の児童生徒に対して、学校外も含めた多様な教育機会の確保を整理しています。
出典:文部科学省:不登校児童生徒への支援(関連ページ)
個人的な意見としては、ここを“プライド”で潰すのが一番もったいないと思います。
「学校に戻す」か「支援を使う」かではなく、
「回復に必要な動線を選ぶ」という判断に切り替えてみてください。
沖縄の受験現場の現実:不登校でも進路は作れる(内申・私立という選択肢)
【感想】にあった「沖縄進学塾でも不登校の子を対応した」という話は、非常に重要です。
なぜなら、保護者が一番怖いのは結局、「このままだと将来が詰むのでは」という不安だからです。
ここは丁寧に言います。
不登校=進路が閉ざされる、ではありません。
もちろん、制度は毎年の要項や学校の運用で変わりますし、「内申(注:調査書)」が影響する場面もあります。ですが、現実として、
- 学力を積み上げて私立へ進学する
- 高校で環境を変えて立て直す
- 「中学の合わなさ」を高校でリセットする
こうしたルートを取る子は実際にいます。
(注:個別ケースでは、学校選びや学習計画が重要です)
さらに、家計面での支えとして「高等学校等就学支援金」があります。
文部科学省のQ&Aでは、2020年4月から年収約590万円未満世帯を対象に、私立(全日制)の就学支援金上限が年39万6,000円まで引き上げられたことが明記されています。
出典:文部科学省:高等学校等就学支援金制度Q&A
また文部科学省の「高校生等への修学支援」ページには、令和8年度(2026年度)からの所得制限撤廃や加算額引き上げを含む“高校授業料の無償化”を別途検討中である旨も記載されています(※制度は検討・決定・運用で変わり得ます)。
出典:文部科学省:高校生等への修学支援
つまり、中学の環境が合わなかったとしても、高校で立て直す可能性は十分にある。これは希望論だけでなく、制度面からも後押しが増える方向に動いています。
「休ませる」は放置ではない——回復には順番がある
不登校の局面で一番揉めやすいのが、ここです。
親:「休ませたほうがいいのはわかる。でもゲームばかりで心配」
子:「今は無理。話しかけないで」
このすれ違いは、親の愛情が薄いからではありません。
親が苦しいのは自然です。子どもの苦しみを見ること自体がつらいからです。
ただ、回復には順番があります。目安としては次のような流れです(注:子どもによって順序や期間は変わります)。
- 睡眠(まず体の回復)
- 食事(最低限の土台)
- 安心(責められない空気)
- 会話(短くてもOK)
- 外出(5分から)
- 学習(小さく、続く形で)
登校は、このあとに来ることが多い。
順番を飛ばして無理をすると、いったん戻っても再び動けなくなることがあります。
だから、目標は最初から「登校」に置かず、「回復の階段を上る」に置き換えるほうが現実的です。
課題の分離:親子の境界線を整えると、子どもは動き出しやすい
参考記事で触れられていた「課題の分離」は、不登校対応でかなり重要な考え方です。
- 「学校に行く/行かない」は子どもの課題
- 「支援を整える」「家庭を整える」は親の課題
境界線が曖昧になると、親は子どもの領域に踏み込みすぎ、子どもは「支配された」「否定された」と感じやすくなります。思春期は特にそうです。
ここで誤解しないでほしいのは、境界線を引く=突き放すではないことです。
境界線を引く=親は「環境担当」になる。
子どもを変えようとするのではなく、子どもが回復できる環境を整える。
この役割の切り替えができた家庭ほど、長期的には回復が進みやすい傾向があります(注:これは筆者の経験則で、すべてのケースに当てはまるわけではありません)。
専門機関を使うことは「大げさ」ではない——状況整理のための作戦会議
【感想】にもあった通り、今は不登校に理解のある専門家や支援先が増えています。
不登校の背景には、睡眠の乱れ、体調、強い不安、発達特性(注:生まれつきの得意不得意の偏り)などが絡むことがあります。家庭だけで抱えるほど、見立て(注:何が起きているかの整理)が難しくなり、親子の摩擦が増えます。
相談することは「重症」の証拠ではありません。
むしろ「今の状況を整理する」「次の一手を決める」ための作戦会議として使う。そう捉えるだけでも、心が少し軽くなるはずです。
結論:不登校は“人生の敗北”ではない——「家庭の戦略」を作れば未来は動く
最後に、この記事を一文でまとめます。
不登校は、子どもがサボった結果ではなく、心のエネルギーが尽きたサインであり、回復の工程と進路の戦略を組み直すタイミングである。
学力は取り戻せることが多い。進路は作れる。制度の支えもある。支援の手もある。
だからこそ、親子で「常識」に縛られすぎず、使えるものを使いながら、回復と再設計を進めていきましょう。
そして、沖縄で受験に向き合うご家庭ほど、「内申」「学校環境」「家計」「進路選択」が絡み合います。だからこそ、情報と整理が命です。私は沖縄の中学受験・高校受験の現場から、こうした“家庭の意思決定”に役立つ情報も発信していきます(大げさにではなく、必要な人に届く形で)。
中学生のみなさんへ(短いメッセージ)
もし今、しんどいなら。
あなたは怠けているわけではありません。
疲れただけです。
休みながらでいい。小さな目標でいい。
「今日は昼に起きる」「外に5分出る」でも十分です。
あなたのペースで、少しずつ取り戻していこう。
執筆者情報
比嘉 大(ひが たけし)沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。講師歴20年以上。学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。
※免責(注:注意書き):本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医療的判断や個別ケースの最終判断を代替するものではありません。強い不安や体調不良が続く場合は、学校・自治体窓口・医療機関などに相談してください。



















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