AI時代に問われる「学びの選択」― 年収1500万円の壁を越えるスキルと、10年後に残る力 ―

【那覇】
高校入試が変わり、授業で生成AIを使う学校も増えてきました。
いま、家庭で「10年後に残る仕事」を考える時代が訪れています。
AI(人工知能)の進化が働き方を変えるなか、どんな学びを選び、どんな資格を身につけるかが、将来の安定と可能性を左右します。

■ 世界で広がる「AIスキル」と「資格」の波

米国の調査会社ライトキャストによると、生成AIスキルを求める求人は2022年から2024年にかけて、非IT職で9倍、生成AIエンジニアで7倍、その他のIT職では35倍に増加したといいます。
AIが文章や画像をつくる時代、企業は「AIを扱える人材」を求める傾向を強めています。

一方で、単にAIを操作できるだけでは足りません。AIを使いこなし、組織を導く知識や資格が問われています。
ビジネス誌『Forbes JAPAN』は、「年収1500万円以上を目指す人が履歴書に加えるべき3つの国際資格」として、次の3つを紹介しています。

■ 年収1500万円超を支える「3つの国際資格」

① CISSP(情報セキュリティの最高峰)

サイバー攻撃や情報漏えいが深刻化するなか、CISSP(Certified Information Systems Security Professional)は世界的に評価が高い資格です。
米労働統計局によれば、情報セキュリティ関連職の求人は今後10年間で約30%増加が見込まれ、平均を大きく上回ります。
「社会を守る仕事」としての意義も大きい資格です。

② PMP(プロジェクトマネジメントの標準資格)

PMP(Project Management Professional)は、複雑なプロジェクトを人・予算・品質の面から管理できる力を示します。
米プロジェクトマネジメント協会(PMI)はAI時代に対応した講座も開講し、「AIを使ってチームを導ける人材」が高収入層に増えています。

③ AWS認定ソリューションアーキテクト(クラウド設計の専門家)

クラウド技術を扱うAWS(Amazon Web Services)の資格は、世界中で需要が高い資格のひとつです。
企業のインフラを設計し、AIやデータ分析の基盤を整える役割を担います。
平均年収は約1,800万〜2,700万円と報告されており、フリーランス契約でも高単価案件が多い分野です。

■ 「資格」よりも問われる“どう活かすか”

これらの資格に共通するのは、「資格=ゴール」ではなく「資格=スタート」であるという点です。
AIやクラウド、マネジメントの知識をどう社会で活かすか。
それを考え抜ける人ほど、経済的にも精神的にも安定していくといえます。

たとえば美容師という職業を見ても、免許を取るだけでは年収は上がりません。
カラー専門や縮毛専門など“強みの明確化”が重要です。
同様に、エンジニアであっても「AI×マネジメント」「AI×セキュリティ」など、掛け算の発想が今後の鍵になります。

■ 「人でなければできない仕事」が残る

AIにできる仕事は、やがてAIが担います。
しかし、人と向き合う仕事や、創造・共感・意思決定が伴う仕事は残り続けます。
医療、教育、福祉、芸術など、「人の心」を扱う分野は、むしろAIの補助を得て成長していくでしょう。

AIを敵視するのではなく、AIを相棒にできる人が社会の主役になっていきます。

■ 沖縄でも始まる「未来を見据えた学び」

沖縄県内の学習塾や高専では、情報工学や半導体、セキュリティなどを志す生徒が増えています。
「AIが産業の中心になる」ことを前提に進路を選ぶ高校生も少なくありません。
特に離島や地方の子どもたちにとって、デジタルスキルは“距離を越える翼”となります。

オンラインで学べる教材が増え、クラウド上で世界の企業と仕事をする時代。
「沖縄にいながら、世界と働ける」選択肢を現実にできるのが、この10年の変化です。

■ 家庭でできる「未来教育」3つのヒント

  1. 一緒に調べる
    親子で職業や資格を検索し、「この仕事の年収は?」「どんな人が働いている?」と話してみましょう。
    “お金の話”をタブーにせず、現実的な視点を持つことが第一歩です。
  2. 探究を応援する
    AIツールを使ったレポート作成、動画編集、SNS発信など、学校外の活動も学びに変わります。
    挑戦を「遊び」ではなく「練習」と捉え、体験を広げていきましょう。
  3. 「人にしかできない力」を育てる
    挨拶・感謝・説明力など、AIには代わりにくい人間的スキルを意識的に磨きます。
    子どもが「話せる」「聴ける」環境を家庭でつくることが未来の武器になります。

■ 「10年後の地図」を一緒に描こう

AIが急速に進化しても、「人の成長」は一朝一夕には変わりません。
今の学びが、未来の選択をつくります。

10年後にどんな社会があり、どんな自分でいたいか。
その問いを、親と子が一緒に考える時間こそが、最大の教育になるはずです。

【出典】

執筆者:
比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。
学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。
「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域の学力や家庭教育の課題について積極的に発信している。

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