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参考記事の要約|「不登校でも意外と大丈夫」の根拠
誰の話か:作曲家・内田拓海さん(1997年生)。小・中学校に1日も通わず育ち、通信制高校を経て東京藝術大学作曲科へ進学。現在は作曲・公演・教育活動を展開しています。
主張の核:「学校に行けなくても(行かなくても)将来は十分に拓ける」。保護者は信じて待つ力を持つことが大切だと説きます。
象徴的なたとえ:「ハンバーグは、いじり過ぎると崩れる。子どももじっくり待つほど火(力)が通る」。
社会的背景:不登校・長期欠席は近年増加傾向。珍しい出来事ではなくなってきています。
注意点:内田さんは“通わない”ことを最初から選んだ非就学という特異なケース。ただ、その経験が「多様な学び方」の可能性を示しています。
▶ 参考:PHPファミリー「義務教育を一切受けなかった20代作曲家が、『不登校でも意外と大丈夫』と言い切る理由」(2025/10/23)
結論を先に|「学校=唯一の正解」を手放す
学校は大切な学びの場です。ただし唯一のルートではありません。子どもは「学校の中」でも「学校の外」でも学べます。いちばん大事なのは、自分の力で生きる準備=自立を進められることです。
視点を変える|“問題”ではなく“出発点”として見る
「行けないこと」そのものを解決目標にすると、親子ともに苦しくなります。
そこで、問いを変えましょう。
- いま、この子は何に反応しているか(嫌い・苦しい・合わない)
- この子は何なら続けられるか(好き・得意・没頭できる)
- その小さな手がかりを、どう生活の設計に組み込むか
好きから始める|“評価されない時間”が将来の武器になる
学校の成績に直結しない時間は、無駄ではありません。
むしろ没頭の総量が、のちの専門性や市場価値に変わります。
- 料理が好き → 下ごしらえ・衛生・原価の“学び”に接続
- ゲームが好き → 戦略・反復・配信・コミュニティ運営に接続
- 音楽が好き → 聴く→分析→再現→創作という“学ぶ階段”へ
実例で学ぶ|「条件つき自由」で行動を回す
ケース:不登校ぎみ・内申ほぼオール1、唯一の特技は「ゲーム」。
設計:
- 必須2科目(国語・数学)だけは毎日30〜60分行う
- ゲームは毎日5時間OK。ただしプロ大会/配信向けの2系統に絞り、「攻略→検証→配信」までをサイクル化
結果:ゲーム部のある高校へ進学し、全国大会ベスト8、大学進学も達成。
→ “好き”を競技・制作・発信に昇華させると、生活の基軸が家の中から社会へ移ります。
沖縄の文脈で考える|「多様な学び」を地域資源にする
沖縄は全国でも不登校比率が高い地域です。令和5年度の県教育庁調査によると、小・中学生の不登校者数は7,013人(児童生徒1,000人あたり46.5人)。これは全国平均を上回り、都道府県別では「小学校不登校率1位」と報告されています。
悲観で止まらず、次のような多様な学びを地域資源として活かす発想が必要です。
- フリースクール・通信制高校・オンライン講座
- 地域のクラブ・ボランティア・職業体験
- クリエイター・農業・観光などの現場学習
目的は「登校」ではなく、自立できる力を身につけること。
「学び直しの設計」を親子で一緒に行うことが、最も効果的です。
親ができること①|“短い行動”を毎日積む
- 15分のミニ目標(例:要約3行/英単語10個/計算10問/日記5行)
- 見える進捗(チェック表・動画記録など)
- 週1の振り返り(できた理由・課題・次の一歩)
小さく速く動くことで、「できた!」の実感が自信につながります。
親ができること②|“承認される場”を設計する
- 家庭内での観客役(3分だけ見て一言コメント)
- 小さな発表機会(録音・動画配信・作品掲示)
- 他者との接点(部活動・地域団体・オンライン共同制作)
「見てもらえる環境」が行動の持続に直結します。
親ができること③|“作戦会議”は週1で
- 事実(やれた/やれない)
- 解釈(なぜ?何がジャマ?)
- 施策(1つだけ変えて来週試す)
親が先回りで正解を言わない。子どもが自分で決めたと思える感覚が続ける力になります。
学びのデザイン|「学校外のカリキュラム」を見える化する
週次テンプレート例:
- 基礎:国語20分・数学20分・英語20分(合計60分)
- 専門:好きなテーマ120分(分析→練習→制作→発信)
- 体力:散歩20分 or 筋トレ10分
- 社会:家事担当(例:夕食の副菜・洗濯の仕分け)
- 発表:週末3分プレゼン(親or録画)
学校外でも基礎×専門×社会性の3軸を回すことで、バランスが取れた学びが実現します。
まとめ|“焦らず、信じて、一緒に設計する”
- 学校は大切、でも唯一の正解ではない。
- 子どもの特性と没頭を出発点に、小さく回す。
- 親の役割は正解を与えることではなく、環境と観客になること。
- 目的は登校ではなく、どのルートでも目指せる自立。
――それが、不登校の先を「暗闇」ではなく「選択」に変える第一歩です。
比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、中学受験・高校受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。
学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。
「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。








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