はじめに――「出席日数は関係ない」は本当?
結論は「影響しうる。ただし“どの程度”影響するかは方式と学校次第」です。公立は多くが学力検査+調査書(内申)の総合判定で、調査書には一般に出欠の記録が含まれます。一方で、私立の一般・オープン入試等には学力重視(調査書は参考)の方式もあります。
最近の制度アップデート(安心材料)
- 出欠欄の配慮が全国的に進行:2025年の周知文書では、出席停止・忌引等の扱いが不利益とならない配慮や、出欠欄を設ける場合の理由記載・申告機会の確保を求めています。(出典:文科省 2025/6/27)
- 「出欠欄なし」へ見直す自治体の拡大:報道では19都府県で「調査書の出欠欄なし」への移行が進むとされます(詳細は各都道府県で異なる)。(朝日新聞報道)
ポイント:「欄がない=一切見ない」とは限りません。最終判断は自治体の実施要項・学校の選抜要項です。
数字が独り歩きしないために――“ボーダー”の正体
- 民間解説で語られがちな「年間30日」「3年間90日」は、あくまで目安。実際の扱いは自治体・学校で差があります。
- 遅刻・早退の扱いも地域差。「3回で欠席1日換算」の地域もあれば回数をそのまま記載する所も。
- 調査書に反映される期間は一般に中3・2学期(12月頃)までが多いですが、推薦は時期により1学期までのことも。
なぜ不利になりうる?(3つの見られ方)
- 調査書に出欠が載る(様式は自治体差)。
- 生活習慣・意欲の指標として見られやすい。
- 面接で理由確認が入る場合がある(やむを得ない欠席は診断書等で十分に配慮)。
いまからできる「6つの具体策」
- 担任・進路指導に早めに相談:事情共有→備考欄記載や出席扱い(保健室・適応指導・連携フリースクール)の検討。
- 定期テストは可能な限り受験:学力のエビデンスを積み上げ、内申下振れを緩和。
- 提出物の徹底:「関心・意欲・態度」の評価を守る。
- 面接の30秒テンプレを仕上げる:理由→改善→意欲。
- 学力重視の方式を候補化:私立一般・オープン入試等。
- 学び直しの設計:個別・家庭教師・オンラインで当日点で取り返す体制。
志望校の選び方(適材適所)
- 公立:多くが学力×調査書。配点・比率・出欠の扱いは自治体要項で確認。
- 私立:方式は多様。推薦は出席基準が厳しめの学校も。一方、一般・オープン入試は学力最重視。
- 通信制・定時制:出席に寛容で、面接・作文中心の選考も。
沖縄ローカルの要点(2024〜2025年度)
- 調査書の作成・記載:沖縄県の募集要項・記入例を公開。
- 情報入口:県教委の「県立学校入試」ページから様式・要項にアクセス可能。
→沖縄では中3後半の改善が見える形で評価されやすい傾向も。
面接「30秒」テンプレ(誠実・前向き・具体)
理由:「中2秋から体調不良で欠席が増えました。」
改善:「中3春から通院・生活記録・運動を開始し、2学期は皆勤です。」
意欲:「高校では保健室も活用しながら皆勤を目標に、部活と学習を両立します。」
参考記事(要約)
高校受験で中学校の出席日数は関係ない?不利になる?内申点の仕組み・対策を解説(アップ成績アップラボ)
- 「関係ない」は誤解。公立は学力+調査書で総合判定。
- ボーダーは年間30日・3年90日だが地域差あり。
- 私立一般・オープンは学力重視で出欠影響が小さい場合も。
- 対策:学校相談・出席扱い・定期テスト・提出物・面接準備。
私見:数字の向こうにいる「その子」の物語を
私は沖縄で学習塾を運営し、出席の悩みを抱える生徒に多く接してきました。出席は「学校で過ごせた時間」の記録であり、人の価値ではない。塾の1期生の一人は、農業という夢を起点に、向陽高校 国際文化→琉球大学 農学部という戦略的進路を選び、今もその道を歩んでいます。幸せの定義は人それぞれ。出席や偏差値ではなく、本人の物語に合う道を一緒に描きたい——それが私の信念です。
保存版:実務チェックリスト(家庭用フォーマット)
- 要項DL:自治体・志望校の最新要項・配点・面接有無・出欠欄をDL。
- 出欠反映日の確認:多くの学校は12月末時点。中3後半で改善を意図的に。
- 客観資料ファイル:診断書・通所記録・生活記録・担任コメントの控え。
- 当日点で稼ぐ教科決定:配点が高い科目を週単位で強化。
- 方式分散:公立に加え、私立一般・オープンを候補に。
- 面接練習:家族でロールプレイ、本番対応力を。
執筆者:比嘉 大(ひが たけし)
沖縄県を拠点に、小学生・中学生の学習支援や中学受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。
学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。
「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。
沖縄県を拠点に、小学生・中学生の学習支援や中学受験に関する情報発信を行う教育インフルエンサー。
学習塾の運営のほか、調剤薬局、ウェブ制作会社、ウェブ新聞「泡盛新聞」の経営など、25歳で起業して以来、自社7社・間接経営補助10社を展開。
「教育が沖縄を活性化させる」という志を持ち、地域学力や家庭教育の課題について積極的に発言している。
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