先生が足りない?—全国と沖縄の「教師不足」

① 文部科学省「『教師不足』に関する実態調査」(PDF)

2021年度の始業日と5月1日時点の全国状況を調査。小中の不足は始業日2,086人(0.35%)→5/1時点1,701人(0.28%)に改善。高校は5/1時点159人(0.10%)、特別支援学校は205人(0.26%)。県市別(小・中)一覧も掲載されています。

PDFをひらく(文部科学省)

② ABEMA TIMES「全国的な教員不足…“ペーパーティーチャー”は現場を救えるか」

教員免許は持つが未就業の人材(通称:ペーパーティーチャー)を現場に迎える動きが各地で進展。研修が不十分なまま教壇に立つケースの課題と、研修・サポートがあれば戦力になり得るという両面が紹介されています。

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③ 琉球新報「教員の未配置7人、小学校はゼロに(沖縄、2025年4月)」

沖縄県の4月時点の未配置は7人(小学校はゼロ)。採用増や呼びかけ強化などで昨年より改善。ただし中学・高校・特別支援での不足は残り、校内でのやりくりが続いています。

記事を読む(琉球新報)

④ ReseEd「教職員の未配置3,662人、学校現場全体で人手不足…全教調査」(2025/7/22)

全日本教職員組合(全教)が2025年5月1日調査時点で全国3,662人の未配置と公表。代替者が「見つからないまま」の割合が6割超まで増え、現場の厳しさが浮き彫りに。

記事を読む(ReseEd)

「担任の先生、まだ来ないの?」—ある中学生の朝から

朝の会が始まる時間。プリント配布や連絡事項は学年の先生が手分けして進めています。なぜなら、担任の先生がまだ決まっていないクラスがあるから。これは遠い場所の話ではなく、私たちの地域でも起きていることです。国の調査や県内のニュースを見ると、先生の「未配置」は毎年のように発生し、現場はぎりぎりで回しています。では今、何が起きていて、私たちに何ができるでしょうか。

全国と沖縄の不足状況(小・中)を数字で確認

全国(2021年度 5月1日時点・文科省調査)

学校種 学校に配置されている教師数(A) 配当定数(B) 不足(C) 不足率(C/B) 不足が生じている学校数
小学校 379,598 380,198 979 0.26% 794
中学校 218,504 219,123 722 0.33% 556
小中計 598,102 599,321 1,701 0.28% 1,350

出典:文部科学省『教師不足に関する実態調査』5/1時点集計より。

沖縄(県市別・5月1日時点、文科省調査の県内訳)

学校種 不足人数 不足校数 不足率 (参考)充足率
小学校 6 6 0.10% 99.6%
中学校 7 7 0.19% 99.6%

注:県市別は文科省PDFの一覧表(小学校・中学校)に基づく数値。

沖縄の直近動向(2025年4月時点・県公表報道)

区分 未配置人数 補足
合計 7人 小学校は未配置ゼロ。中1/高5/特支1。校内のやりくりで対応。

出典:琉球新報(2025/4/18)。

全国の直近動向(2025年5月1日調査・全教)

区分 未配置人数 内訳の主因例
全国合計 3,662人 産育休・病休の代替者不在、定数欠員 等

出典:ReseEd(全教調査、2025/7/22)。

「ペーパーティーチャー」は不安?—課題と可能性をセットで見る

感想では「非常勤講師(ペーパーティーチャー)がすぐ教壇に立つのは危険」との懸念がありました。たしかに、研修や伴走支援が不十分だと、授業運営や評価、学級づくりに苦労します。いっぽうで、ABEMA TIMESの記事が示すように、研修が整えば戦力になる実例も増えています。大事なのは「人数合わせ」ではなく、採用前後の研修・メンター制度・授業観察とフィードバックなど受け入れ側の仕組みづくりです。中3の進路期など配慮が必要な学年には、経験者配置や複数担任制などリスクを減らす設計が現実的です。

先生の仕事を“しぼる”—何を先生が担い、何を外部と組むか

感想では「部活動・定期テスト・メンタルケアは外部委託を」とありました。方向性は概ね妥当ですが、現場への一気通貫の丸投げではなく、段階的に“協働”へ移すのが安全です。

  • 部活動:平日短時間+休日は地域クラブ等と連携。教員の拘束時間を削減しつつ、専門性は外部で高める。
  • 定期テスト:校内作問のみ→市町村・県の共通問題+校内問題のハイブリッドへ。地域の学力把握と、学校の特色評価を両立。
  • メンタルケア:スクールカウンセラー・SSWの計画配置と、教員の一次対応を減らす導線づくり。
  • 不登校支援:医療・心理・福祉の専門家とチーム支援。学びの場は校内外の選択肢を。

こうした「役割分担」は、文科省の働き方改革の方向性や各自治体の実践とも合致します。先生は授業・進路・学級経営に集中し、専門職や地域とチーム学校で生徒を支える形が、最も再現性の高い解です。

よくある疑問にサクッと回答

Q. 「校長の裁量」でテスト廃止などが決まるって本当?
校長のマネジメント権限は大きいですが、教育課程や評価は学習指導要領・教育委員会の方針に沿って運用されます。学校単独で極端な変更を進めることは現実的ではなく、学校評議員・保護者会・教育委員会などでの説明と合意形成が基本です。
Q. 「知識はAIに勝てない」なら、先生の価値って?
AIは知識の検索・整理が得意。一方で先生の価値は、思考の型づくり・学びの動機づけ・関係づくりにあります。「どう考えるか」「どう選ぶか」「どう支え合うか」を育てるのは、人にしかできません。

今日からできる、小さな一歩(中学生&保護者)

  • 家庭の作戦会議:学期に1回、「学習・生活・進路」の話を15分。評価やテストの日程、相談先も共有。
  • 学校へのフィードバック:良かった取組は「ありがとう」を伝える。改善点は具体例をそえてやさしく。
  • 地域の力を活かす:部活動の外部コーチ、学習ボランティア、読書活動など、できる範囲で関わる。
  • AIリテラシー:調べ学習でAIを使うときは、一次情報にあたる複数資料を比べる出典を書くの3点を習慣に。

まとめ

  1. 全国でも沖縄でも未配置は毎年発生。小・中の全国不足は2021年度5/1で1,701人、沖縄は小6/中7(当時)。直近の沖縄は4月で未配置7人(小はゼロ)まで改善。
  2. 不足の主因は産育休・病休の代替確保の難しさや特別支援拡充など。2025年の全国未配置は3,662人(全教)。
  3. 「ペーパーティーチャー」は研修・伴走支援とセットで活かす。役割分担(部活・評価・メンタルケア・不登校支援の協働化)で先生のコア業務を守る。
  4. 学校・家庭・地域・専門家でチーム学校をつくることが、子どもたちにとって最短距離の安心と成長につながる。

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