内申点の「授業態度」評価が廃止へ?~親子で備える新制度とわが子を守る行動~


「先生、この子、授業態度はすごくいいんですよ」

保護者面談でよく聞くこの言葉。けれど、私たち親が望んでいるのは、
「授業態度が良い子」ではなく、「実力で進路を切り開ける子」ではないでしょうか。

2025年7月、文部科学省は大きな方針転換を発表しました。
それは、「内申点の中から、授業態度=主体性の評価を外す」というもの。

この記事では、この制度変更の内容と背景をやさしく解説し、中学生・小学生とその保護者が今から準備できることを具体的にご紹介します。

出典:2025年7月4日 教育新聞|内申評価から主体性除外へ


この制度変更、うちの子は関係ある?

今回の制度改革の影響を直接受けるのは、以下の世代です:

  • 2024年度 小学5年生以下の子ども(=2030年度中1に該当)
  • それ以外でも、自治体によっては先行導入の可能性あり

つまり、小学校高学年の保護者は、すでにこの制度に向けて備えを始めておくと安心です。


どう変わる? 現行制度と新制度の比較

比較項目 現行制度(〜2029年度) 次期制度(2030年度〜)
評価観点 知識・技能 / 思考・判断・表現 / 主体性(授業態度) 知識・技能 / 思考・判断・表現(※態度は除外)
内申点への反映 3観点を総合して評定(通知表の成績) 2観点で評定。主体性は所見欄のみ
受験への影響 授業態度が内申点に加点・減点 テストや成果物など、実力重視

「内申美人」が進路でつまずく理由

私たちの塾には、こんな生徒がいます。

  • 内申点は高いけど、実力テストでは偏差値が低い
  • 先生の前では優等生、でも模試は苦手

いわゆる「内申美人」の子どもたち。特に沖縄県那覇市の那覇国際高校を目指す生徒に多く見られ、入学後に学力差で悩み、途中で通信制高校に転学するケースも決して珍しくありません。

※退学数の公式データは公開されていないため、ここでは「一定数見られる」と表現にとどめます。


なぜ「授業態度」が成績から外されたのか?

理由は大きく3つあります:

  1. 先生によって評価の差が大きすぎる(主観が混ざる)
  2. ノート提出や挙手回数などが「機械的な加点」に使われていた
  3. 結果として「気に入られる子」が得する不公平さがあった

制度の目的は、実力で公平に進路を決められる環境を作ることです。


技能4教科はどう評価されるべき?

技能教科(音楽・美術・保体・技術家庭)は、点数化が難しい分野です。だからこそ、以下のような「成果+努力プロセス」の評価が理想です。

教科 評価例
音楽 録音提出・感想文・リズム練習の成果記録
美術 作品+制作意図のプレゼンシート
保健体育 実技+体力の記録、自己評価表
技術・家庭 料理レポート、ものづくりの工程写真

今から親子で取り組める「3つの行動」

  1. テストやレポートを計画的に取り組む
    どんなに良い態度でも、今後は点数が主軸になります。
  2. 「学びの記録」を作る(ポートフォリオ)
    子どもが日々学んだことを1冊のノートやアプリにまとめていく習慣が、推薦や面談時に力になります。
  3. 通知表の「所見欄」を活かす
    これからは「授業態度」は成績欄から外れますが、所見欄で先生の印象が伝えられます。
    この欄をよく読み、家庭内でも振り返りましょう。

評価の公正さを守るために必要なこと

今後は、以下のような評価の透明性も求められるでしょう:

  • 事前に評価基準を明示する(点数制やルーブリック)
  • 外部模試やテスト問題の一部委託
  • 評定の一部を第三者が確認できる仕組みづくり

それによって、先生は本来の仕事である「生徒との対話」「進路相談」に集中できます。


最後に:勉強は“学校任せ”ではなく“親子チーム”で

制度が変わろうと、子どもの未来をつくるのは家庭の姿勢です。

「うちの子、内申点高いから安心」
「勉強は先生に任せればいい」

そう思っていた保護者こそ、この制度変更をきっかけに、自分の子の“実力”と丁寧に向き合うことが必要かもしれません。

これからは、「よくできたね」という声と同時に、
「どう考えたの?」「どうやって解いたの?」と問いかけられる親でありたいですね。

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