スマホと中学生の勉強――便利な道具か、学力を下げる原因か?
「うちの子、家で全然勉強に集中できないんです……。気づくとスマホを見ていて。」
これは、ある保護者から聞いた言葉です。
スマホは今や私たちの生活に欠かせない存在ですが、その魅力は、大人でさえ抗えないほど強力です。そんなスマホが子どものそばにあることは、果たして学びの味方になるのでしょうか。
この記事では、海外での事例や塾での実体験を踏まえ、スマホと子どもたちの関係を見直すヒントをお届けします。
海外の事例――規制と成果のリアル
1. デンマーク:一律禁止の提案と議論の波紋
デンマークでは2023年、学校でのスマホ使用を全面的に禁止する法案が提出されました。しかし、研究者や高校生からは次のような意見が出ています。
- 自己管理できている生徒にも不利益を与えるのは不公平
- スマホは調べ学習や辞書代わりに有効なツールでもある
- 強制よりも、信頼とルールを重視した教育が大切
2. オランダ:段階的な制限と実感できる成果
2024年1月から、オランダでは中等教育機関で授業中のスマホ使用を原則禁止とする施策がスタートしました。調査の結果:
- 75% の学校が「集中力向上」と回答
- 59% が「対面コミュニケーションの増加」
- 28% が「学力向上」を報告
また、約66%の学校が「ロッカー預け or 家に置く」といったルールを導入しています。
子どもたちとスマホ――塾現場の気づき
沖縄進学塾でも、スマホに関する課題は日常的に見られます。
ある生徒に「今日はスマホをロッカーに預けてみない?」と提案したところ、意外にもその日の集中力が高まり、本人も「いつもより静かにできた」と話していました。
一方で、偏差値65以上の生徒たちは、スマホを「道具」として調べ学習やAI活用に使いこなしています。
スマホ制限の取り組み――自学時間での“分岐点”
沖縄進学塾では授業中のスマホ使用は禁止ですが、自学時間については以前まで生徒に任せていました。2025年の夏期講習から以下のようなルールを導入します:
- 偏差値60未満の生徒:自学時間中のスマホ使用を原則禁止
- 偏差値60以上の生徒:調べ学習・AI活用に限り使用可
「公平性」ではなく「最適な学習環境」を目指す方針です。
家庭でできる、スマホとの向き合い方
1. スマホの使用目的を話す
「調べ学習?連絡用?」など目的を明確にすることで、無意識な使用が減ります。
2. 視界から遠ざける
物理的に遠ざけることで集中力が高まります。別室保管やリビング預かりも有効です。
3. 振り返りを習慣化する
「何を調べた?役に立った?」と振り返るだけで、使用の質が上がります。
AI時代に求められる力とは
スマホやAIを活用するには、以下の基礎力が不可欠です:
- 質問をつくる力
- 情報の取捨選択力
- 文章を理解する語彙力
“使える人”になるには、地に足のついた学力が前提になります。
おわりに――スマホとの「ちょうどいい距離感」を探して
スマホは味方にも敵にもなります。「使われる」のではなく、「使いこなす」力こそ、子どもたちが身につけるべき時代です。
家庭や塾からできる小さな実践が、未来の教育環境をつくる第一歩になるかもしれません。
(参考記事リンク)
– デンマーク:スマホ禁止提案とその反応
– オランダ:スマホ禁止がもたらした効果
この記事へのコメントはありません。