「子どもの心にエンジンを積む」―SELが変える学びと人生の土台

はじめに:テストの点だけじゃない、本当に育てたい力

「うちの子、最近ちょっと元気がないんです」「学校のこと、何を考えているのか分からなくて…」。
そんな保護者の声を、私たちは日々耳にします。

教室の中で見られるのは、静かに過ごしている生徒たち。けれどその胸の内では、言葉にできない感情、誰かに伝えたいのに伝えられない気持ちが渦を巻いていることも少なくありません。

そんな今、世界で注目されているのが「SEL(Social Emotional Learning)=社会性と情動の学習」です。
これは学力だけでなく、「心の力」―たとえば自分の気持ちに気づく力や、人と関係を築く力など―を育てる取り組み。
アメリカをはじめ世界各国で導入され、日本でも不登校の改善や学力向上、さらには教員のストレス軽減にまで成果をあげているのです。

SELとは?5つの“心の力”を育てる教育

SELは、以下の5つの能力を育てることを目的としています。

SELの5領域 意味
自己認識 自分の気持ちや強み・弱みに気づく力
自己管理 感情や衝動をコントロールし、目標に向かう力
社会認識 他人の立場を理解し、共感する力
関係性構築 他人と良い関係を築くための対話・協力の力
責任ある意思決定 正しい判断を下し、行動に責任をもつ力

教室の外にも広がるSELの力

ある中学校では、生徒たちが「心地よい学校を自分たちで作ろう」というテーマで、校舎に自分たちの描いた絵を飾る活動を行いました。

「自分の声が学校に反映された」
「この空間が、もっと好きになった」
こうした声が続々と生まれ、生徒の表情は明るくなり、登校率も上がったそうです。

本当に必要なのは“対話する力”を育てること

当塾では、生徒にこんな問いかけをします。

  • 「この点数、どうだった?満足してる?」
  • 「今回の結果につながった原因って、何があると思う?」
  • 「次は、どう行動を変えていく?」

これはまさにSELの自己認識・自己管理・意思決定のサイクルです。何も難しいことではありません。
大切なのは、“できた・できなかった”だけでなく、その背景にある心に目を向ける習慣なのです。

子どもの“自己肯定感”は、家庭の会話から生まれる

実は、学力が高い生徒ほど、自己肯定感が高い傾向にあります。これは何も、「褒められて育ったから」だけではありません。
「親とよく話しているかどうか」―これが決定的に大きいのです。

「探究」の鍵は、親が日常の“気づき”を拾えるか

「探究学習って何をすればいいのか分からない」という声をよく聞きます。けれど、特別なテーマを見つける必要はありません。

たとえば、こんな親子の会話からでも探究は始まります。

  • 子「なんでスーパーで沖縄産の野菜って高いの?」
  • 親「台風の影響とかもあるのかな?一緒に調べてみる?」

コロナで孤立したのは、子どもより大人かもしれない

SELの研究者は「コロナ以降、自己認識や他者理解が難しくなった」と語っています。でも、本当にそうでしょうか。
私たちはむしろ、「親や大人の関わり方が問われた」と考えています。

偏差値は「指標」、SELは「推進力」

よく「偏差値至上主義が悪」と言われます。でも、現実社会では結果が求められます。
大切なのは、偏差値の数字と心の成長の両方を大人が扱えることです。

SELの本質は、大人が“モデル”になること

SELの効果は、教材やプログラムではなく、それを伝える人の姿勢で決まります。つまり、保護者自身が「感情と向き合い、他者と丁寧に関わる姿勢」を見せることが、最大の教育なのです。

沖縄進学塾の実践:育てるのは、“自分で進む力”

当塾では、中3生を中心に、あえて細かく教えすぎない指導を行っています。代わりに、自分で考え、判断し、修正する経験を重ねます。

さいごに:子どもと一緒に、大人もSELを学ぼう

子どもが自分の心と向き合い、他者と関わり、目標に向かう力を育むには、やはり「大人の姿勢」が欠かせません。
SELは、テクニックではありません。

  • 「毎日をどう過ごすか」
  • 「子どもとどう関わるか」
  • 「一人の人間として、どう生きるか」

そんな私たち大人自身のあり方が、子どもに最も強く伝わります。

学力を高めるのも、志望校に合格するのも、すべては「心にエンジンがあるかどうか」です。
SELは、そのエンジンを子どもたちに渡す手段なのです。

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