増える授業・減る学び?先生の働き方改革と子どもたちの学力、そのバランスとは

公立小中学校で授業数はどうなっているのか?

文部科学省が公表した「令和6年度 公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査」では、全国の学校で行われている授業数の状況が詳しく調べられました。とくに注目されたのは、「標準授業時数(小学校1,015単位時間/中学校も同じ)を大幅に超えている学校」がどのくらいあるかという点です。

結果として、令和6年度ではこのような学校は大きく減少しており、全国の学校が「詰め込みすぎ」にブレーキをかけはじめていることがわかりました。

一方で、その授業時間のうち「何に使うのか」を明確にしていない学校も25%近くあることが明らかになりました。

また、週あたりの授業コマ数も適正化が進んでおり、多くの自治体では28コマ以下を目指した柔軟な時間割編成が行われています。東京都や埼玉県では週当たりの授業時間を調整することで、先生の働く時間の見直しや、児童生徒の下校時間の適正化もはかられています。

加えて、最近の傾向として小学校高学年では教科担任制の導入が進み、専門性を高めた授業運営も試みられています。

その変化の“先”にあるもの(沖縄進学塾としての感想)

この調査を読んで、私たち塾の立場としてさまざまなことを感じました。
まず、授業時間が減っている背景には、明らかに先生の働き方改革が関係しています。もちろん、これは大切なことです。

でも同時に、「先生の業務量が減ったぶん、子どもたちに提供されるべき学びの質が下がっていないか?」という不安もあります。

実際、私たちの塾に通っている生徒の中でも、とくに那覇市内の鏡原中学校のように「定期テストを年2回に減らす」「担任制の廃止」などのトライアルを行っている学校の生徒に、少し学力の低下が見られるようになってきたと感じています。

特に中学1~2年生では、明確な「テストへの準備」がないことで、学習に対するモチベーションの維持が難しくなっている様子が見られました。

中学3年生は高校受験という目標があるため、ある程度の自律が生まれますが、それ以前の学年では「やらなければならない理由」がなくなると、学習習慣が緩んでしまうのは避けがたい現実です。

「外部委託」という考え方と公教育のこれから

私たちは、先生たちがとても頑張っているのを知っています。けれど、教員不足や過重労働といった課題が続く中で、すべてを学校だけで対応するのはもう限界にきているのではないでしょうか。

そこで提案したいのが、「公教育がすべてやる」から「社会全体で子どもを育てる」仕組みへのシフトです。

例えば、さつき小学校ではかつては提出が必須だった「がんばりノート(自主学習ノート)」の提出が任意になりました。これは、先生の負担を軽減するためです。

でも、そうした家庭学習のサポートがなくなった分を、誰かが補ってあげなければ、本当に必要な子どもたちに「何も届かない」ことになってしまいます。

その意味では、那覇市の「まなびクーポン」のように、学習塾などの外部機関を利用できる仕組みはとても有効です。実際、当塾にもその制度を利用して通っている生徒がいますが、本人もご家庭もとても助かっているようです。

部活動やキャリア教育も、外部の力で支えよう

勉強だけでなく、部活動やキャリアパスポート(将来の職業観や進路を意識する教育)も、今後は外部委託していく時代になるかもしれません。

「地域の企業や専門家」「スポーツ指導者」など、学校の外にはたくさんの教育リソースがあります。そうした外部の力を借りながら、学校の先生は“先生にしかできない”ことに集中してもらえるような環境が必要です。

沖縄進学塾としての役割

私たち沖縄進学塾でも、「勉強奨励金」の制度を導入しています。これは、「学びたい」という意思のある子どもたちが、経済的な理由であきらめなくてすむようにとの願いを込めたものです。

勉強する機会を平等にすることは、未来への投資です。子どもたちは、将来の沖縄を支える“人財”です。

私たちは、ただ塾として学力を伸ばすだけではなく、地域と子どもをつなぐ存在でありたいと考えています。

最後に、保護者の皆様へ

今、公教育は大きな過渡期を迎えています。働き方改革、学びの個別最適化、多様な進路選択…そのすべてが「子どもたちの未来のため」に行われていることを信じたいと思います。

でも、その過程で「一部の子だけが得をする」ような仕組みになってしまうと、公教育の本来の目的から離れてしまうかもしれません。

だからこそ、保護者の皆さんが「学校まかせ」ではなく、社会全体で学びを支える意識をもっていくことが大切だと思います。

私たち塾も、できることを精一杯やってまいります。一緒に、子どもたちの未来を支えていきましょう。

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