2024年4月に行われた全国学力・学習状況調査。その結果は、ただ点数を競うものではなく、「これからの子どもたちの学び方」や「教育にどんな支援が必要か」という大きなヒントを与えてくれるものでした。
この記事では、この調査結果を読み解きながら、特に沖縄県に暮らす私たちにとってどのような意味があるのか、そして私たち大人が何を考え、どう行動すればいいのかを一緒に考えてみたいと思います。
【文部科学省報告書の要約】
令和6年度の全国学力・学習状況調査では、小学6年生と中学3年生を対象に、国語と算数・数学の学力、そして学習環境や意識についての調査が実施されました。
- 小学6年生:国語67.8%、算数63.6%
- 中学3年生:国語58.4%、数学53.0%
国語では「事実と意見の区別が曖昧」「条件に応じた書き方ができない」、算数・数学では「統計や単位量を根拠に説明する力が弱い」などの課題が明らかになりました。
一方で、「対話的な学び」「個別最適×協働」「ICT活用」などをうまく取り入れた授業では、子どもたちの正答率や挑戦心、幸福感まで高まる傾向が見られました。
【沖縄の現状と不安】
この結果を沖縄県に当てはめてみると、次のような順位になります。
- 小学生の国語:全国39位
- 小学生の算数:全国47位
- 中学生の国語:全国47位
- 中学生の数学:全国47位
中学生の数学では、全国平均と比べて「10ポイント差」が開いています。これは深刻な課題です。
しかし、私は「沖縄の子は勉強ができない」とは思いません。私の塾に通う子どもたちの中には、全国レベルで十分に通用する力を持った子が多くいます。
【問題は「能力」ではなく「環境」かもしれない】
現場にいて感じるのは、「指導者不足」と「教育環境の変化」です。
たとえば、課題ノートの提出が任意になったり、定期テストや担任制度が廃止されるなど、従来の教育スタイルが大きく変わりつつあります。
こうした変化は、教員のワークライフバランスを守るためには必要ですが、子どもたちにとっての「学びの習慣」が失われつつある面も否めません。
【これからの「家庭の教育力」】
「学校に任せておけば安心」という時代は、すでに終わっています。
学校は社会性や協働性を育む大切な場所ですが、「学力向上」や「受験」に向けたサポートは、家庭の関わりが大きなカギになります。
私たち保護者自身が、子どもたちの学びに寄り添い、応援し、必要であれば学び直す。その姿勢こそが、今求められているのではないでしょうか。
【家庭でできる具体的なサポートとは】
- 「どうだった?」と毎日聞く習慣
授業内容について話すことで、記憶も定着しやすくなります。 - 「家庭テスト」で振り返り
単元ごとのミニテストを用意するのも効果的です。 - 「どう考えたの?」と問いかける
正解・不正解ではなく、考え方や思考過程を大切にしましょう。 - ICT学習に一緒に取り組む
タブレット学習を親子で活用すると、継続もしやすくなります。
【今こそ保護者が「教育の仲間」になるとき】
文部科学省も「家庭との連携」を重視しています。学力・意欲・幸福感は、家庭と学校の連携が育てるものです。
ICTや個別最適な学びの考え方は、家庭でもすぐに取り入れることができます。なによりも、「わが子には力がある」と信じる気持ちが、子どもを成長させる一番の力です。
【おわりに:学びの形が変わる中で、親としてできること】
教育改革や社会の変化の中で、子どもたちは新しい「学び方」に向き合っています。
私たち保護者が柔軟に対応し、ともに成長していく姿勢を持つことが、子どもたちの力を引き出すカギになります。
「教育の傍観者」ではなく「伴走者」として、これからの学びを支えていきましょう。
<参考資料>
順位 | 都道府県 | 平均正答数 (全15問) |
平均正答率 (%) |
1 | 石川県 | 9.3 | 62 |
2 | 東京都 | 9.1 | 61 |
3 | 秋田県 | 9.0 | 60 |
3 | 富山県 | 9.0 | 60 |
3 | 福井県 | 9.0 | 60 |
6 | 岐阜県 | 8.9 | 60 |
7 | 群馬県 | 8.9 | 59 |
7 | 埼玉県 | 8.9 | 59 |
7 | 静岡県 | 8.9 | 59 |
7 | 京都府 | 8.9 | 59 |
11 | 茨城県 | 8.8 | 59 |
11 | 栃木県 | 8.8 | 59 |
11 | 神奈川県 | 8.8 | 59 |
11 | 岡山県 | 8.8 | 59 |
15 | 愛知県 | 8.8 | 58 |
16 | 山梨県 | 8.7 | 58 |
16 | 長野県 | 8.7 | 58 |
16 | 兵庫県 | 8.7 | 58 |
16 | 広島県 | 8.7 | 58 |
16 | 山口県 | 8.7 | 58 |
16 | 福岡県 | 8.7 | 58 |
22 | 北海道 | 8.6 | 58 |
22 | 山形県 | 8.6 | 58 |
22 | 大分県 | 8.6 | 58 |
25 | 岩手県 | 8.6 | 57 |
25 | 宮城県 | 8.6 | 57 |
25 | 福島県 | 8.6 | 57 |
25 | 大阪府 | 8.6 | 57 |
25 | 徳島県 | 8.6 | 57 |
25 | 熊本県 | 8.6 | 57 |
31 | 千葉県 | 8.5 | 57 |
31 | 新潟県 | 8.5 | 57 |
31 | 三重県 | 8.5 | 57 |
31 | 鳥取県 | 8.5 | 57 |
31 | 島根県 | 8.5 | 57 |
31 | 香川県 | 8.5 | 57 |
37 | 青森県 | 8.5 | 56 |
37 | 愛媛県 | 8.5 | 56 |
39 | 滋賀県 | 8.4 | 56 |
39 | 奈良県 | 8.4 | 56 |
39 | 高知県 | 8.4 | 56 |
39 | 長崎県 | 8.4 | 56 |
39 | 鹿児島県 | 8.4 | 56 |
44 | 和歌山県 | 8.2 | 55 |
44 | 佐賀県 | 8.2 | 55 |
46 | 宮崎県 | 8.1 | 54 |
47 | 沖縄県 | 8.0 | 53 |
全国(国公私立) | 8.8 | 58.4 | |
全国(公立) | 8.7 | 58.1 |
順位 | 都道府県 | 平均正答数 (全16問) |
平均正答率 (%) |
1 | 石川県 | 9.2 | 57 |
2 | 東京都 | 9.1 | 57 |
3 | 福井県 | 9.0 | 57 |
4 | 富山県 | 9.0 | 56 |
5 | 静岡県 | 8.9 | 55 |
6 | 愛知県 | 8.8 | 55 |
6 | 兵庫県 | 8.8 | 55 |
8 | 神奈川県 | 8.7 | 54 |
8 | 岐阜県 | 8.7 | 54 |
10 | 徳島県 | 8.6 | 54 |
11 | 埼玉県 | 8.6 | 53 |
12 | 香川県 | 8.5 | 53 |
13 | 秋田県 | 8.4 | 53 |
13 | 栃木県 | 8.4 | 53 |
13 | 群馬県 | 8.4 | 53 |
13 | 三重県 | 8.4 | 53 |
13 | 京都府 | 8.4 | 53 |
13 | 岡山県 | 8.4 | 53 |
19 | 山口県 | 8.4 | 52 |
19 | 愛媛県 | 8.4 | 52 |
21 | 奈良県 | 8.3 | 52 |
21 | 広島県 | 8.3 | 52 |
23 | 北海道 | 8.2 | 51 |
23 | 宮城県 | 8.2 | 51 |
23 | 山形県 | 8.2 | 51 |
23 | 茨城県 | 8.2 | 51 |
23 | 千葉県 | 8.2 | 51 |
23 | 山梨県 | 8.2 | 51 |
23 | 長野県 | 8.2 | 51 |
23 | 大阪府 | 8.2 | 51 |
23 | 福岡県 | 8.2 | 51 |
32 | 滋賀県 | 8.1 | 51 |
33 | 青森県 | 8.1 | 50 |
33 | 大分県 | 8.1 | 50 |
35 | 鳥取県 | 8.0 | 50 |
35 | 高知県 | 8.0 | 50 |
35 | 鹿児島県 | 8.0 | 50 |
38 | 新潟県 | 7.9 | 50 |
38 | 和歌山県 | 7.9 | 50 |
38 | 熊本県 | 7.9 | 50 |
41 | 長崎県 | 7.9 | 49 |
42 | 島根県 | 7.8 | 49 |
43 | 岩手県 | 7.7 | 48 |
43 | 福島県 | 7.7 | 48 |
43 | 宮崎県 | 7.7 | 48 |
46 | 佐賀県 | 7.6 | 48 |
47 | 沖縄県 | 6.9 | 43 |
全国(国公私立) | 8.5 | 53.0 | |
全国(公立) | 8.4 | 52.5 |
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