こんにちは。この記事では、勉強の「やる気が出ない」「モチベーションが続かない」と悩む中学生と、わが子を応援したい保護者の皆さんに向けて、具体的なヒントをお届けします。題材にしたのは、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠さんの連載記事「やる気が出ない」の対処法です。
■ 参考記事の要約(東大合格者が実践した「やる気が出ない」の対処法!モチベーションの源泉を育む自己肯定感UPの勉強戦略とは)
西岡さんは、高校入学時には東大合格など誰も予想しなかった成績でしたが、「小さな1位」を積み重ねる戦略で偏差値を大きく伸ばし、見事東京大学に合格しました。彼が強調するポイントは大きく三つです。
- 手の届く範囲で1位を取る――小さな成功体験が自己肯定感の種になる。
- 成功体験を繰り返す――「自分でもできる」という確信がモチベーションを支える。
- 環境を選ぶ――努力が報われやすい場に身を置くと、成長速度が加速する。
この記事は、スマホやSNSなど誘惑の多い現代であっても、これら三つの視点を持てば勉強を続けられると伝えています。
1. 「1位」の持つ魔法――小さな旗を立てよう
「1位」と聞くと全国模試や学年トップを思い浮かべ、「自分には遠い」と感じる人が多いかもしれません。しかし西岡さんが推奨するのは、「努力すれば手が届く範囲で1位を作る」作戦です。たとえば、
- 英単語小テストでクラス1位を狙う
- 理科の確認テストで満点を取り、掲示板に名前を載せる
- 読書感想文コンクールで校内最優秀賞を目指す
重要なのは「結果が数字で見える」「期間が短い」「達成可能」という三条件。こうした目標をクリアすると脳はドーパミンを放出し、次の挑戦への意欲を自然に高めます。心理学ではこれを自己効力感と呼びます。「一度できたことは、もう一度できる」という前向きな錯覚が、苦しい局面で踏ん張る力になるのです。
2. 「1位」でなくてもOK!達成感のレシピ
ここで忘れてはいけないのは、「必ずしも1位である必要はない」ということです。私自身、多くの中学生を見てきて、「継続して達成を重ねる子ほど伸びる」と確信しています。たとえば、
- 「英語だけは毎回80点以上キープする」
- 「数学の宿題は提出率100%」
- 「毎朝20分、必ず音読を続ける」
これらは順位ではなく基準点クリア型の目標ですが、十分に達成感を生みます。大切なのは、昨日の自分より一歩前へ進んだと実感できる設定にすること。そして達成した瞬間に自分をほめる、あるいは保護者にほめてもらうことで成功体験はさらに深く刻まれます。
3. 成功を後押しする「環境」という味方
成功体験を重ねるには、頑張りが自然と成果につながりやすい環境が必要です。スポーツで例えるなら、甲子園常連校の野球部には、強い仲間・優秀なコーチ・整った設備という三拍子がそろっています。勉強も同じで、
- 「ちょっと上手な先輩・同級生」がいるか
- 「質問できる先生」が常に教室にいるか
- 「定期的なテスト」があり自分の位置が見えるか
- 「静かな自習室」が夕方以降も開いているか
こうした要素がそろうほど、努力は確実に成果へと結びつきやすくなります。
4. 「友だちがいるから」だけで塾を選ばない
進学塾を選ぶとき、「仲のいい友だちが通うから同じ塾に行く」という理由をよく耳にします。もちろん仲間がいる安心感は大切です。しかし、その友だちは「勉強を頑張る仲間」でしょうか。それとも「遊び仲間」でしょうか。この違いは成績に大きな差となって表れます。
保護者の方は、入塾説明会などで教室の空気を確認してみてください。挨拶がしっかりしているか、授業前後に質問の列ができているか、掲示板に過去の合格実績や小テストのランキングが貼ってあるか。これらは「努力が見える化された環境」の指標です。
5. 目的と目標を整理する
「志望校合格」や「将来やりたい仕事に近づく」――これが目的です。その途中に「次の定期テストで5科400点を取る」「模試で偏差値60突破」といった目標を置きます。目的と目標を分けて考えれば、途中でつまずいても「これは目的地までの一ステップ」と捉えられ、気持ちが折れにくくなります。
6. 今日から始める三つのステップ
- 小さな勝負を設定:次の小テストで満点、漢字50問テストで50点など。
- 結果を見える化:ノートの1ページ目に結果を貼る、冷蔵庫にテスト用紙を貼る。
- 成功を記録しほめる:できた日はスタンプを押し、家族で「よくやった!」と言葉にする。
たったこれだけで、脳は「成功=うれしい」と学習し、次の行動を促します。
7. 親子でできるサポート術
保護者の方にお願いしたいのは、結果より過程を承認する言葉をかけることです。「満点おめでとう」以上に、「毎日コツコツ続けたんだね。すごい努力だね」と伝えると、子どもは「頑張った自分」に価値を見いだします。この視点を持つと、点数が少し下がった日でも、努力を続けた自分を誇れるようになり、再挑戦へのエネルギーが保たれます。
8. スマホと上手に付き合うコツ
誘惑の代表格であるスマホ。完全に断つのは現実的ではありません。おすすめは、
- 勉強開始前に「タイムロッキングボックス」に入れて物理的に触れないようにする
- アプリの通知をすべてオフにし、スクリーンタイム機能で利用時間に上限をつける
- 家族で「スマホ休憩タイム」を決め、15分だけまとめてSNSチェック
これらの工夫で「つい手が伸びる」を減らし、集中を守りましょう。
9. もし挫折したら――リスタートの極意
人間は完璧ではありません。三日坊主で終わったとしても大丈夫。再開ポイントをできる限り低く設定するのがコツです。たとえば英単語30語に挫折したら、翌日は5語に減らします。「またやれた!」という事実が積み重なれば、徐々に数を戻すことができます。
脳科学的に見る「小さな達成」の威力
勉強で達成感を得ると放出される神経伝達物質ドーパミンは、次の行動を開始するスイッチとして働きます。ゲームでレベルアップするとやめられないのと同じで、テストで○が増えるだけでも脳は「もっとやりたい」と感じるのです。だからこそ、小さな目標を短いサイクルでクリアすることが重要なのです。
実例:中2・アヤカさん(仮名)の成績逆転ストーリー
最後に、私が指導した生徒の実例をご紹介します。中学2年のアヤカさんは、数学が平均点以下で「どうせ無理」と諦めモードでした。私はまず「毎回の計算小テストで満点を狙おう」と提案。出題範囲は公式と計算練習だけなので、準備すれば必ず取れるテストです。彼女は3回連続満点を達成し、掲示板に名前が貼り出されました。その頃から宿題提出率が100%になり、3か月後の定期テストでは学年15位まで浮上。本人いわく「満点シールのキラキラがうれしくて、勉強がゲームみたいに感じた」そうです。
このように、「努力すれば必ず報われる」と実感できる設定があれば、人は自然と自走し始めます。今の点数に関係なく、誰でも再スタートを切れるということを覚えておいてください。
10. まとめ――やる気は「植木鉢の花」
やる気は一度高めればずっと咲き続ける花ではありません。毎日の水やり(小さな目標)、肥料(成功体験)、日当たり(環境)がそろって初めて伸び伸びと育ちます。今日の記事が、あなたとお子さんの「やる気の植木鉢」に新しい芽を出すきっかけになれば幸いです。
さっそく今夜、小テストの目標を手帳に書き込み、家族みんなで達成を祝う準備をしてみてください。それが明日の自分を変える第一歩です。
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